面積区画ってなんだろう?解説や免除規定についてご説明します!
内装工事をおこなうときや、新しく建物を建てるときに、「建築基準法がよくわからない……面積区画って何だろう?」と、お悩みになったことはありませんか?面積区画とは、物件の防火のために建築基準法で定められた区画のことをいいます。火災被害を防ぐためにとても必要な区画となるため、きちんと内容を確認しておくことが大切です。
今回は建物や高層建築物で、万が一、火災延焼被害が発生したとき火災を一定範囲に抑えることで被害拡大を防ぐ「面積区画」について解説します。面積区画の区画が免除規定や緩和が適用される場合についても触れているので、ぜひ参考にしてみてください。
面積区画は防火区画の1つ
建物で火災が起こったときは、その建物の空間が大きいほど、火災被害の規模が大きくなることが予想されます。その火災被害を防ぐために、火災を一定範囲内に抑えて、ほかの場所へ燃え移るのを防がなければなりません。
耐火構造の床や防火扉などでわけられた一定の区画を設け、防火処理がなされた区画のことを防火区画といいます。その防火区画の1つとして、面積区画があるのです。防火区画は「面積区画」、「竪穴区画」、「異種用防火区画」の3種類が建築基準法で存在しますが、今回のコラムでは面積区画についてのみ解説していきます。
面積区画の構造について
面積区画とは、火災が発生したときに火を区画内の中へ封じ込め、火災延焼被害を最小限に抑えるために定められた区画となります。面積区画には種類があり、建物の11階以上の区画においては「高層面積区画」を設ける必要があると、建築基準法で定められているのです。面積区画と高層面積区画では、防火処理に関する設置基準が異なるので、混同しないように注意する必要があります。
面積区画は、延べ床面積が1500平方メートル以内ごとに「1時間準耐火基準に適合する壁、床」と「特定防火設備」によって区画する必要があります。そのため、建物を建てるときなどは壁や床のほかにも、適切な防火設備を設置することが必要なので、基準に満たすようにすることが大切です。
面積区画の場合はそのほかにも、避難時間が短い建物の場合や、準耐火建築物となっているもので500平方メートルを超える場合は、500平方メートル以内ごとに区画をする必要があります。
また、高層面積区画に関しては、11階以上の場所では100平方メートルごとに区画をすることが必要となっています。「耐火構造の壁、床」と「防火設備」によって区画する必要があることが定められています。高層面積区画の場合は特定条件を満たした場合に、区画面積を500平方メートルへ緩和することもできるため、条件の内容を事前に確認しておくことが必要です。
面積区画には免除規定がある!
面積区画は区画を決める場合に、区画免除の適用や、区画する面積の緩和をすることができる場合があります。面積区画を緩和したいと考えている場合は、区画免除の規定を確認して、内装工事や建物の建設をおこなうようにすることが必要です。
・スプリンクラーを設置する場合
床面積を合計する計算において、スプリンクラー、水噴霧消化、泡の消火設備で自動式の消火設備がある場合は、面積区画が半分になります。この緩和規定は、高層ビルなどの高層面積区画にも当てはまります。ただし、「自動式の消火設備」が対象になるので、手動の消火設備は対象外です。
・階段・昇降路・避難経路
階段、エレベータシャフト、エレベーターなどは面積区画・高層面積区画が免除されます。ただし、免除されるのはこれらの区画の防火設備が、「1時間準耐火構造の床・壁」、「煙を遮る遮煙性能を持つ特定防火設備」で区画でなければ免除の対象にはなりません。また、高層面積区画においては、「耐火構造の床」、「壁と遮煙性能を有する特定防火設備」で区画されている必要があります。
・用途による面積区画の免除規定がある
面積区画により分割することが適当でない用途については、「やむを得ない場合において面積区画が免除される」という、面積区画の免除規定があります。おもに劇場・映画館・体育館・不燃性の物品を補完する立体的な倉庫(人やフォークリフトを使って出し入れする多層式倉庫)などです。
ほかにも、「工場内でベルトコンベアによりライン作業が行われている場合」や、「不燃品や冷蔵品を保管する業種」などでは、「やむを得ない場合」が当てはまります。これに該当する場合は「防火区画設置免除願い」という書類の提出をする必要があるため、事前に確認しておきましょう。
まとめ
面積区画は火災延焼を抑えるためのものなので、規定に従って面積区画の区分けをおこなうことで、火災延焼被害発生時の被害を抑えることができるしょう。
面積区画には免除規定を満たすことで、区画の面積を緩和することができます。消火設備が整っている場合や、特定の防火設備が必要になるため、事前に確認しておくことが大切です。内装工事や建物を新しく建てるときには、必ず面積区画の規定を守ることが必要となるので、面積区画の内容についてしっかりと理解しておきましょう。