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飲食店の開業資金調達、内装工事費の融資、補助金を獲得するための4つの戦術を公開

飲食店の場合、開業資金は一般的に1,000万円〜1,500万円が必要と言われている。これから新しく飲食店や店舗を開業するオーナーにとって、この開業資金を、全て自己負担で賄うことは、至難の技だ。

開業資金の50%は自己資金で準備するのが良いとされている。つまり500万円〜750万円は融資や補助金等で、他から借り入れをしなければならない。しかし、資金調達について、体系的に学ぶ場が無いのも事実だ。

アーキクラウドでは内装工事業者の紹介、飲食店舗のWEBコンサルティング業務を行う中で、開業における資金調達についても様々なノウハウを蓄積してきた。

今回は、新規オーナーでも充分理解出来る様に、順を追って、わかりやすく記事にしてまとめた。開業資金計画を立てる前に、是非参照して頂きたい。

飲食店、店舗の開業資金調達の種類について

 

資金調達方法は主に3種類ある。1つ目は日本政策金融公庫だ。民間の金融機関からの融資が厳しい中小企業や、これから新事業を起ち上げる経営者を中心に資金を貸している国の機関だ。比較的融資が通りやすいのが特徴だ。

2つ目は銀行、ノンバンクなど、民間金融機関からの借り入れだ。銀行融資は法人として、実績(黒字経営を続ける)がなければ、融資を得ることは難しいだろう。既に飲食店、その他店舗を法人として運営していて、それらを、チェーン展開する際にまとまった資金が必要な時などに活用してみよう。

3つ目は「制度融資」と言われる、国や地方自治体が実施する融資制度だ。条件は各自治体によって異なるが、こちらも比較的融資が通りやすく、多くのの飲食店、店舗事業者が利用している。

4つ目は、補助金や助成金だ。1〜3は返済が必要だか、こちらは返済が不要となる。国や地方自治体が募集をしている。応募期間や条件など様々だが、該当するのであれば是非ともチェックしておきたい。下記に各資金調達方法を、表にしてまとまたので、是非活用して頂きたい。

 

支給元 支払い時期 返済義務 返済時期 金利 難易度
日本政策金融公庫 前払い あり 固定 1%〜3%
制度融資(国、自治体) 前払い あり 固定 1.9%〜2.5%(東京都中小企業制度融資)
民間金融期間 前払い あり 任意(信用力による) 任意(信用力による)
補助金、助成金 後払い なし

 

 

日本政策金融公庫での開業資金調達・戦術1

 

日本政策金融公庫は国が運営する融資機関だ。上述した通り、民間の金融機関と比べて、融資が通り易く、返済期間に余裕があり、金利も比較的低いため、これから飲食店を開業しようとする新規経営者が多く利用している。

それでは順を追って説明していく。まず融資を受ける上でも最もネックとなるのは保証人ではないだろうか?

特に新規経営者にとって、その様な伝は無い場合が殆どだ。親に頼むしても、友人に頼むにしても気が引けるし、人間関係にも影響を及ぼしてしまうこともある。

その様な場合に、利用したいのが無担保、無保証人で利用できる「新創業融資制度」だ。これから新たに事業を始める方、事業開始後税務申告を2期終えてない方が対象だ。

但し、基本的には、創業時において創業資金額の1/10以上を自己資金として準備できていることが条件となる。

融資限度額は3,000万円、そのうち1500万円は運転資金。返済期間は設備資金の場合は15年間(据置期間2年)、運転資金の場合は5〜7年以内(据置期間1年)となる。

また、金利は返済期間によって異なるが1%〜3%程度だ。その他前述した通り、無担保無保証人の融資制度で、代表者個人に責任が及ばない。

法人の場合は、代表者が連帯保証人になれば、金利を0.1%低減することができる。

 

では、実際にどの様な手順で進めていけば良いのだろうか?まずは、日本政策金融公庫の各支店に必要書類を提出しよう。

必要となるのは「借入計画書」「創業計画書」「見積書」「履歴事項全部証明書」だ。見積書は、設備投資分のみとなるので、店舗の物件契約書と内装工事の見積書を準備しよう。

物件契約書が必要ということは、物件を決める前の段階で融資を受けることはできないということだ。

つまり、最悪の場合を想定して、自己資金でも開業できる準備はしておこう。内装工事については弊社サービスを無料で利用できるので是非活用して頂きたい。

創業計画書については記載の仕方にポイントがあるので後述する。

資料が揃ったら担当審査員と面談を行い、事業計画について詳しく説明する。既に飲食店を運営されている方は、店舗に尋ねられることもあるので注意しよう。

融資が決まると契約に必要となる書類が送られてくる。契約手続きが終わると、登録した口座へ送金される仕組みだ。

続いて、創業計画書について、記載のポイントをまとめたので確認して頂きたい。

 

日本政策金融公庫創業計画書

 

1.創業の動機

「創業をされるのは、どの様な目的、動機からですか?」

⇒最も重要な項目開業に対する強い想いを素直に書くことが重要。

記載例
「これまでの業務経験を活かし、サラリーマンを対象にした、和風居酒屋の開店を考えています。新橋で物件を探していたところ駅近傍の商業ビル1Fに適度な広さの物件を見つけた。また現在の勤務先で酒や料理の原材料を安く仕入れる見込みがついたため開業を決意しました。」

 

2.事業の経験等

「過去に自分で事業を経営していたことはありますか?」
「この事業の経験はありますか(創業に至るまでのご経歴)」

⇒審査員が最も重視する項目。相手にこの人であれば店鋪、飲食店を成功させるだろうと思わせる理由を記載する。その様な経験があり、技術があるかをより具体的に書くと良い。飲食店経験者であれば、単に店鋪名と勤続年数を書くだけで無く、「店長として6年間居酒屋運営に携わり集客からサービスはもちろんのこと店鋪を黒字化するためのマネジメント力を養うことができた。」など、その業務に携わることで何を学ぶことができたかを明確に描くと良いだろう。飲食店やその他店舗で働いたことがない方は、アルバイトでもいいので、最低でも1〜3ヶ月働いた実績を作ろう。経験+実績をベースにした売上見通しが、合否を分ける重要なファクターとなるのだ。

記載例
「平成20年から平成25年12月まで大手チェーン居酒屋の店長として働いていました。5年間働く中で、原材料費を抑えながら、付加価値の高い料理を提供するノウハウを身に付けることができ、流行る立地についても熟知しています。今までの経験と人脈を活かした経営をすることで、確実に利益が上がる店舗を運営していきます。」

 

3.取扱商品・サービス

「お取り扱いの商品・サービスを具体的にお書き下さい。」
「セールスポイントは何ですか?」

⇒まずはどの様な店鋪、飲食店にするのかを明確に書くこと。その上で商品やサービスそして売上アップのための具体的な工夫、その他競合との差別化方法なでを具体的に書く。内容が良ければ審査員の評価は高くなる。

記載例
「サラリーマンの少ないお小遣いでも気軽に立ち寄れる様に提供するメニューの低価格化を実施します。ドリンクは200円から500円の間とします。今までの繋がりで仕入先との関係が良好のたま低価格で商品を仕入れることが可能なため十分な利益を確保することができます。」

 

4.取引先、取引条件

「販売先、仕入先、外注先など」

⇒販売先はターゲットとしている客層を記入する。仕入先は重要で、ここから人脈の有無が読み取られるためできるだけ記入をすることが望ましい。店鋪や飲食店は決して1人でできるものでは無く、従業員や仕入先業者及び税理士など多くの人の協力がなければ成功することはない。審査員としては人脈をここで見抜こうとする。

 

5.必要な資金と調達の方法

「設備資金と運転資金」

⇒創業者の熱意が現れるのが自己資金だ。評価を上げるためにも最低でも開業資金の5割、最低でも3割は用意する必要がある。例えば親から借りた400万円より、自分で貯めた200万円の方が評価されることもある。また、友人からの借り入れについては、信頼の証拠として評価の対象となることもあります。また各種支払い状況も審査材料となる。公共料金や家賃、車のローンなどは必ずチェックされる。借りたお金を返すといことは、信頼関係構築の土台なので、今からでも遅くないので、期日通りに支払う癖をつけておきましょう。また、必要な資金欄には、内装工事費用を必ず入れよう。

 

「6.事業の見通し」

「売上高、売上原価、経費など」

⇒売上高は出店する店鋪近傍の類似店鋪を調査し調査結果として十分な根拠を伴った上の表記することが必要。願望を書くのはNGだ。実際に店に足を運び顧客単価と回転数をチェックする必要がある。もし分で調査をするのが億劫であれば、費用は発生しますが専門家にお願いするのも一つの手だ創業計画書が出来上がったら一度、第三者にみてもらうことをお薦めすうr。1人では気づかなったことが色々と見えてくるだろう。先輩経営者や税理士、既存のお客様など、様々な人の意見を取り入れることで内容がブラッシュアップされる。この創業計画書は、新たに開業する店鋪の全てが詰まった資産となるので、大切に保管し開業も定期的に見直し、方向性がずれていないかをチェックして行くのが良い。

 

その他、飲食店や店舗の新規経営者が使える制度として「女性、若者/シニア起業家支援資金」がある。

条件は、「女性である、30歳未満である、55歳以上である」のどれかに該当し、これから事業を始めるか、事業を始めてから7年以内の方となる。

融資限度額は7200万円(うち運転資金は4800万円)、返済期間は設備資金が15〜20年〜以内(据置期間2年以内)運転資金は5〜7年以内(据置期間1年以内)となる。

金利は、担保、保証人の有り無しで変ってくるが、有りの場合は、1.3〜2.5%、無しの場合は2.3〜2.7%となる。

比較的限度額が大きいので、まとまった資金が必要で、条件に該当する方は是非ともチャレンジして頂きたい。

 

その他、「一般貸付(生活衛生貸付)」も活用できる。生活衛生事業を営む方限定ということで、飲食店経営者のみならず、様々な業種で対象となる。

設備資金限定だが、当然のことながら店舗の内装工事費用も含まれる。融資限度額は業種によって異なる。

飲食店営業、喫茶店営業、食肉販売業、食鳥肉販売業、氷雪販売業、理容業、美容業、その他公衆浴場業の場合は、7200万円。一般公衆浴場業の場合は、3億円以内(2施設以上の場合4億8000万円)。旅館業は4億円。興行場営業、サウナ営業は2億円。クリーニング業は1億2000万円となる。返済期間は13年以内(据置期間は1年)となる。

担保や保証人は相談可能で、その有り無しによって金利も変化する。有りの場合は、1.3〜2.5%、無しの場合は2.3〜2.7%だ。こちらも、該当する方が多いと思うので、是非ともチャレンジして頂きたい制度だ。

 

下記に上記3つの制度をまとめたので参照頂きたい。

 

日本政策金融公庫の融資制度(飲食店、店舗向け)

新創業融資制度 女性、若者/シニア起業家支援資金 一般貸付(生活衛生貸付)
対象 新規の開業者が対象だが開業資金の1/3以上の自己資金が必要 女性又は30歳未満か55歳以上の新規開業者  飲食店など、生活衛生関係の事業者で設備資金として使用する事業者
融資限度 3000万以内  7200万円(うち運転資金は4800万円) 7200万円以内
返済期間 設備資金15年以内
運転資金5〜7年以内
設備資金15年以内
運転資金5年以内
13年以内
金利 1〜3% 担保あり1.3〜2.5%
担保なし2.3〜2.7%
担保あり1.3〜2.5%
担保なし2.3〜2.7%
担保・保証人 不要 どちらでも(金利が変わる) 相談可

※2015年1月現在

 

銀行及びノンバンクで開業資金調達・戦術2

 

銀行融資については、上述した通り、これから飲食店や店舗を開業しようとする経営者にとってハードルは高いだろう。

既に開業していたとしても、最低3期の黒字決算書がなければ、融資はまず下りない。また黒字経営をしていたとしても、いきなり、銀行へ言って融資して下さいと言っても、良い対応は受けられないだろう。

まずは知り合いの経営者から、銀行の担当者を紹介してもらい、融資手続きを進めよう。提出資料は基本的には日本政策金融公庫と同様だ。審査ポイントもやはり経験と実績が最も重視される。

実績とは黒字経営のことだ。利益率はどのくらい必要か?と思われる方も多いと思うが、実はそれほど重要でない。銀行が最も知りたいのは「売上高」と「黒字か赤字か」といった項目だ。

飲食店の場合、利益率10%を目指そうと言われるが、では10%以下だと融資が下りないのかと言うとそうでもない。極端に言えば1%でも融資は下りる。また銀行融資の最大メリットは金利だ。

日本政策金融公庫の場合は、返済期間、金利ともに固定だったが、銀行の場合は基本的には任意で、長く付き合い、信用力を高めれば高めるほど、金利は低くなる。(もちろん最初は金利は高いが。。)

長期的に大きな融資を受けるのであれば銀行融資は必須だが、今の段階では、まだ考えなくて良いだろう。まずは政策金融公庫から融資を得て、最初の1店舗目を成功させることに注力すべきだ。

 

国、地方自治体が実施する制度融資で開業資金調達・戦術3

 

地方自治体と信用保証協会、民間銀行の三者が、協力して融資を行う制度のことで「制度融資」とも言われている。

基本的な流れは、まずは地方自治体の窓口へ行き、専門担当のチェックを受ける。そこで問題がなければ、民間金融機関へ紹介状が送られて、そこでも審査が行われる。審査が通れば、金融機関よりお金が支払われるという仕組みだ。

自治体によっては、金利の一部を負担してくれる制度もある様なので、是非チェックしておきたい。

売上等の実績は不要で、新規開業オーナーでも融資を受けられる点も魅力的だ。しかし、2つの機関が絡んでくるため、融資が下りるまでに時間がかかるという点と、中小企業診断士との面接が必要など、面倒なことが多い。

また、多額の資金調達は難しいだろう。とは言え、金利も比較的安く、銀行からの直接融資と比べると審査も通り易いので是非とも活用して頂きたい。

東京都の場合「東京都中小企業制度融資」といった制度がある。様々な融資メニューがあるが、飲食店や店舗をこれからはじめようとする新規オーナーには「創業融資」が適している。

こちらは、新規創業資金、創業後の事業資金の調達を目的としている。下記の3つの内どれかに当てはまれば融資対象となる。

 


(1)現在事業を営んでおらず、新たに創業しようとする個人
(2)創業した日から5年未満である中小企業者等
(3)分社化しようとする会社又は、分社化してから5年未満の会社

 

融資限度額は2500万円だが、国に認定された区市町村の創業支援事業計画に基づく認定特定創業支援事業の支援を受けた場合、限度額が500万円上乗せされる。但し、(1)の場合は自己資金+1000万円が限度額となる。

返済期間は運転資金が7年以内、設備資金が10年以内(いづれも据置期間は1年)金利は1.9%〜2.5%となる。

この様に、充実した融資内容となっているので、是非最寄りの自治体の制度融資を調べて、開業資金の調達に役立てて頂きたい。当サイトでも引き続き情報提供をさせて頂く。

 

補助金、助成金で開業資金を調達・戦術4

 

続いて、補助金と助成金だ。融資との最大の違いは返済が不要な点だ。その分、応募も多く、受け取れる確率が低くなる。しかし、返済しなくても良いメリットは非常に大きい。募集があれば必ず応募して手に入れたいところだ。

但し、実際には飲食店や店舗を新規に開業するオーナー向けの助成金、補助金はほとん無いのが現状だ。

基本的には国や地方自治体で募集しているので、HP等をこまめにチェックして確認しよう。いつでも応募ができるわけでは無く、募集は年に1,2回しかないので、情報収集はしっかりと行いたい。当サイトでも常にチェックして、情報を公開させて頂く。

では、補助金と助成金は何が違うのだろうか?、返済義務は無く、支払い時期が後払いとなる点が共通点となるが、大きな違いは会計検査院の検査だ。

助成金は検査が無いが、補助金はある。検査では用途について事細かにチェックされるのでご注意頂きたい。

また、助成金は事業計画書等の書類の提出が不要だが、補助金の場合は必要となる。助成金は要件さえ満たせば獲得できるが、補助金は事業計画書をベースに、資金獲得のためのアピールが必要となる。

 

最後に

 

今回は融資、補助金、助成金について新規開業者が活用できるものをまとめて公開させて頂いた。

2013年からの日銀の金融緩和の影響もあり、融資機関にも大量のお金が流れている。融資担当者にもノルマがあり、より多くのお金を貸付なければならないため、審査も通り易くなっているということだ。

事実、現役のサラリーマンで副業として行っているビジネスに対しても融資が下りるという事例も発生している。

しかし、この状況がいつまで続くかはわからい。貰えるうちに貰っておくという考えが重要だ。まずは日本政策金融公庫からで良いので、開業資金調達のため行動を始めてみよう。

 

 

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