リラクゼーションサロンの開業資金と黒字経営を続けるための3つの秘訣
これから、リラクゼーションサロンの開業を検討している新規オーナーにとって、開業資金や黒字経営の知識は必ず身につけておかなければならない重要な項目だ。
多くの新規オーナーは開業資金を融資で賄っているが、融資を受けるには資金計画書を作成しなければならい。つまり「お金」に関する知識は必要不可欠なのだ。
今回は新規オーナーを対象に「お金」をテーマとして、リラゼーションサロン経営を成功させるための秘策を公開させて頂く。
開業資金を体系的に捉えよう
リラクゼーションサロンを開業するには、どの程度の開業資金が必要となるのだろうか?まずは必要となる資金を体系的に整理し列挙してみる。
物件取得費
自宅でサロンを開業しない限り、物件取得費は必須となる。その中でも最も大きいのが保証金だ。物件によって様々だが、一般的には月額家賃の6ヶ月から12ヶ月分は必要だ。
続いて必要となるのが、初月の家賃。月の途中で契約する場合は、当月の日割り分と翌月の家賃が必要となる。
また、仲介手数料も忘れてはならない。最低でも家賃一ヶ月分は必要となる。下記に必要金額をシュミレーションしてみる。
条件
渋谷区徒歩10分の雑居ビルで開業。10坪で賃料は月30万円。
保証金
30万円×12ヶ月=360万円
初回家賃
30万円×1.5ヶ月=45万円
仲介手数料
30万円×1ヶ月=30万円
物件取得費合計
360万円+45万円+30万円=435万円
設備投資費
設備投資費は、内装工事費や機材の購入代金が該当する。20万以上であれば、会計処理され減価償却となるので、税金上のメリットは大きい。
しかし、開業資金に占める割合は大きいため、できるだけ、費用は抑えたいところだ。得に内装工事費はグレードによって上下するので、顧客単価、サロンコンセプトを照らし合わせて設定しなければならない。
また器材は購入する場合とリースの選択がある。リースは最新の機材を使用できるというメリットがあるが「途中解約ができない」「所有権がない」「修理は借主負担」など借主側に不利な条件が多いで、金融機関からの融資が受けれるのであれば、自分で購入するのが良いだろう。今回は購入前提でスタディをしてみる。
内装工事費
30万円/坪×10坪=300万円
機材購入費
ベッド:10万円×3=30万円
その他器材:100万円
設備投資費合計
300万円+30万円+100万円=430万円
開業費
開業費とは開業する時に、必要となる経費のことだ。例えば宣伝広告費や備品の購入費用がそれに当たる。得にホームペーシ作成やチラシの作成、配布は初期の新規顧客を獲得するために必須だ。経費と考えて出し惜しみはしてはならない。
ホームページ作成費
WordPressホームページ:40万円
チラシ作成費
チラシ1万枚:5万円
新聞折込1万枚:5万円
開業費合計
40万円+5万円+5万円=50万円
開業資金合計
物件取得費:435万円
設備投資費:430万円
開業費:50万円
合計:915万円
黒字経営を持続するための資金計画とは?
リラクゼーションサロンは飲食店や物品販売業と比べると、利益率が高くなる。理由は材料原価が不要だからだ。例えば飲食店の場合、料理の素材に必要となる原価は売り上げの30%程度と言われている。
サービス業であるサロンの場合は、この30パーセントが全く不要となるのだ。また、飲食店の場合、純利益は売り上げの10%と言われている。
しかし、利益率の高いサロンの場合は30%は見込めるだろう。この基準をベースに黒字経営を続けるための資金計画をスタディしてみる。
固定費を基準に資金計画をしてみよう。
それでは、純利益30%を目指して実際の資金計画を組んでみよう。そのためには、まず支出項目を把握しなければらない。
支出には「変動費」と「固定費」がある。変動費とは、毎月変動する支出のことで、人件費や水道光熱費、販売促進費用がそれに当たる。
一方、固定費は毎月必ず必要となる支出のことで、家賃や借入の返済金、リース代などが当たる。
固定費は全体売り上げの20パーセント以内に収めるとバランスが良い。この基準を元にシュミレーションをしてみる。
固定費
家賃:30万円
借入金の返済:8万円
※開業資金の半額400万円を借入5年間で返済
合計:38万円
固定費から売上高を算出
固定費を20パセーントとすると
38万円÷0.2=190万円
売上高:190万円
利益額と変動費を算出
売上高を190万円として、営業利益30%として利益額を算出する。
190万円×0.3=57万円
また、変動費は、売上高-固定費-営業利益で算出できる。
190万円-38万円-57万円=95万円
営業利益:57万円
変動費:95万円
この様に、固定費が算出できれば、ある程度の売り上げと、営業利益が想定できる。今回は、個人事業主を想定しているため、営業利益からは、経営者の収入や税金が引かれることを忘れてはならない。下記に上記計算を表にまとめたので参考頂きたい。
(単位:千円)
売上 | 変動費 | 人件費 | 社員給与 | 760 | 40% |
社会保険等 | |||||
福利厚生 | |||||
交通費 | |||||
水道光熱費 | 電気代 | 25 | 2〜5% | ||
水道代 | 25 | 2〜5% | |||
販売促進費 | 広告宣伝費 | 80 | 2〜5% | ||
販売促進費 | |||||
その他 | 事務用品 | 60 | 1〜5% | ||
消耗品 | |||||
通信費 | |||||
固定費 | 家賃 | 賃料 | 300 | 15%以下 | |
その他 | 支払い利息 | 80 | 5%以下 | ||
リース料 | |||||
純利益 | 570 | 30% | |||
合計 | 1,900 | 100% |
目標売り上げを達成するためのスタディ
では、目標売り上げを達成するには、どれだけのスタッフを雇って、顧客単価はどの程度に設定すれば良いだろうか?
まずは 1日に必要となる売上額を計算してみる。週1日を定休日として、毎月24日間オープンしているとする。
190万円÷24日 =約8万円
1日に必要な売上額:8万円
続いて、1日で対応できるお客さまの数を計算してみる。いわゆる回転数の計算だ。施術ベッド2台、営業時間を11:00〜21:00、1回の平均施術時間を2時間とする。
10時間÷2時間×2回=10回
1日の回転数:10回転
一日に必要な売上を回転数で割れば顧客単価が算出できる。
8万円÷10回転=0.8万円
顧客単価:8,000円
如何だろうか?上記計算式を参考に、実際にシュミレーションをしてみよう。これを行うことで、立地選定や物件探し、コンセプト設定から内装グレードまで、今までイメージでしか無かったものが、よりリアルになってくるだろう。
開業資金の調達方法について把握しよう
開業資金における自己資金は、一般的に50パーセント程度と言われている。リラクゼーションサロンの場合も同様で、新規オーナーの多くは借り入れをしている。
今回のシュミレーションの場合、最低でも500万円は融資を受けたい。借り入れ先も様々あり、それぞれメリット・デメリットがある。それぞれ説明していこう。
日本政策金融公庫
日本政府が100%出資する金融機関で、比較的融資も下り易すく、最も利用する人が多いのが特徴だ。
公庫の中でも様々な融資制度があり、下記に大まかに分類したので、あなたの現状に合わせて選択して頂きたい。
また、実際に融資を申し込む際は、知り合いの経営者、若しくは税理士にお願いするのが良いだろう。担当者を紹介してくれるのは勿論のこと、融資が降りる確率も高くなる。
新創業融資制度
新たに事業を始めるか、創業後2期の税務申告を終えていない方が対象となる融資制度だ。最大のメリットは無担保・無保証人で融資を受けることができる点にある。
通常の融資の場合、担保や保証人は必須だが、新規創業者の育成という名目の基、この様な制度となっている。
創業時に必要となる自己資金は、融資希望額の1/10以上が必要となる。今回のシュミレーションの場合、借り入れ額は500万円なので、50万円の自己資金があれば融資が下りる計算だ。
如何にハードルが低いか、ご理解いただけるであろう。下記に詳細を記載するので参照頂きたい。
融資限度額:3,000万円(うち運転資金1,500万円)
返済期間:設備資金15年以内(うち据置期間2年)
:運転資金5or7年以内(うち据置期間1年)
利率:1.65~2,80%
※但し、担保・保証人がいる場合は、0.1%マイナスとなる
その他融資制度
日本政策金融公庫以外にも多くの融資機関がある。特に、国や地方自治体の「制度融資」は利用価値が高い。
東京都の場合、東京都中小企業制度融資がそれに当たる。ただ、手続きに若干の手間がかかるという問題がある。
また、民間金融機関でも借り入れは可能だが、これからリラクゼーションサロンを開業しようとする、新規オーナーが融資を得るのは難しいだろう。
銀行などの民間融資は信頼を積み重ねてから、事業を拡大しようとする時にチャレンジするのが良いだろう。また、補助金や助成金は返済義務がなく、メリットが非常の大きいのだが、サロン開業を対象としたものが、ほとんど無いのが現状だ。
この様な状況から、まずは日本政策金融公庫から始めるのが賢明と言える。
最後に
リラクゼーションサロンの開業資金は立地や規模、グレード感によって大きく異るが、おおよそ1,000万円程度は必要となる。
いずれにしても、この様な金額を自己資金で準備するは難しいだろう。融資は必須となる。借金という響きに抵抗があるかもしれないが、自分への投資と割りきって、一歩踏み出してみよう。
上述した通り、リラクゼーションサロンの利益率は飲食店など、他業種と比べてかなり高い。経営が軌道に乗れば大きな資産を手に入れることも可能だ。開業数年で、年商1億円も夢でないだろう。今回の記事を参考に是非資金計画を進めて頂きたい。