バー、バルの内装工事費、坪単価、新規経営者なら知っておきたい相場観について
これからバーやバルを開業しようとする新規傾経営者にとって、内装工事費は最も気になる項目ではないだろうか?内装工事費は開業資金の中でも50%以上占める重要な項目であると同時に、集客にも関わる重要な要素だからだ。
立地やターゲットとなる客層に合わせた内装デザインを施すことが繁盛するバーの条件となるのが、その内装工事費は誰もが抑えたいと思うのが正直なところでは無いだろうか?
しかし、今まで従業員として働いてきた新規経営者にとって、内装工事費と言われても見当がつかない、というのが正直なところだと思う。
この様な問題を解決するために、アーキクラウドの事例を基にバー、バルの内装工事費について、分かり易く解説していく。
目次
バー、バルの内装工事費について経営者が身に付けるべきこととは?
内装工事費とは、内装の仕上げや空調、給排水工事など、内装工事業者に発注する工事内容のことを言う。バー、バルの場合、一般的な坪単価は30万円〜50万円/坪と言われている。
経営者として身につけておくべきは、見積書の項目がどの様な工事で、それらにどれくらいの費用がかかるかという相場感覚だ。
この相場感をマスターすれば、業者から出された見積書がどの様な工事なのか?そして、それが高いのか?安いのか?を判断できるようになる。
バー、バルの内装工事の見積書を公開
それでは実際に店舗面積20坪のバー、バルの見積書の中身を解説してみる。
仮設工事とは、工事をする前の準備工事のことだ。例えば、塗装工事おいて、周囲にペンキが飛ばない様に、塗る以外の部分をマスキングすることを養生と言うが、これも仮設工事に含まれる。内装工事の場合は、共用部や他のテナントを傷つけてはいけないので、その辺りの養生には神経を使うことが多い。
内装工事費は内装の仕上げ工事のことを言う。壁であればLGSと呼ばれる下地の鉄骨の設置から、壁となる石膏ボード、そして最終的な仕上げとなるビニルクロスなど、天井であれば、下地となるLGSや天井材となる石膏ボードなど、床であれば、下地となるモルタルと仕上げ材のタイルなどがそれに当たる。
塗装工事は内装工事と同様に仕上げ工事となるが、内装工事と区別することが多い。場所としては、壁や天井の一部、建具や手すりなどの鉄部の塗装がそれに当たる。バーやバルの場合は、壁、天井の仕上げとして用いることが多いだろう。費用はそれほど高くはならない。
造作工事は大工が現場で作業して作る造作工事のことを言う。バーやバルの場合はカウンターや棚など造作物が多いため最も費用がかかる工事項目となる。カウンターはバーの顔でもあるので、こだわりたいところだ。素材により価格は異なるが、 集成材<メラミン化粧板<無垢カウンター<御影石 と徐々に高くなる。グレード感を上げたいのでらば、無垢カウンター以上は用意したいところだ。
建具工事とは、開口部に設置する扉や窓の工事のことを言う。バーやバルの場合で費用がかかる建具は、外観やエントランス部分に設置するガラス窓ぐらいだろう。その他客席とバックスペースの扉などはそれほど費用はかからない。
空調設備工事とは、空調機の設置とそれに伴う配管類の工事となる。空調機には室内機と室外機があり、それらをつなぐ冷媒管がある。また、排水を処理するためのドレン管の設置も空調設備工事に含まれる。空調機自体が高価なため内装工事全体に占める割合は大きい。従って残置物として空調機が利用できる様な物件であれば内装工事費を大きく抑えることができる。
電気工事は分電盤の設置や配線工事が主になる。表に見えてこない部分なので、イメージがつきにくいかもしれないが、決して安くない金額なのでしっかりと把握しておきたい。
また照明器具の設置も電気設備工事となる。バーの場合、間接照明のテクニック等が空間の雰囲気を決める重要な要素となるので、是非ともこだわって頂きたいところだ。電気工事費については金額を下げるのは正直厳しいところがある。
敢えて言うなら照明のグレードを下げるなどの方法であれば多少ではあるが工事費を下げることはできるだろう。
衛生設備とはトイレの便器や、洗面器等の設置となる。トイレが共用部に準備されていて、自店舗内に不要であればこの費用は不要になる。よって内装工事費を抑えたいのあれば共用部に綺麗なトイレがある物件であれば、店舗内トイレの設置分の費用が安くなるだろう。
給排水工事とは厨房やトイレ、洗面器への給水、排水管の設置工事だ。特殊な物件でない限り、大きな金額がかかることは無いだろう。
ガス工事はその名の通り、ガス管の設置工事となる。
厨房防水工事は、厨房の床に流したが下階の店舗等に漏れないために、厨房範囲に防水の塗装を施す工事だ。5,000〜10,000円/㎡程度が必要となるが、後々のトラブルを避けるためにも必ず処理しておきたい。
サイン工事は看板工事のことを言う。バーやバルの場合は地下や2階以上に店舗があることが多いので、通行人の目に留まる位置に設置できるサインは集客上重要だ。素材や作り方により価格は様々ではあるが、集客のポイントとなるので投資と割り切って、できるだけ費用をかけた方が良いだろう。
諸経費は現場の管理費や事務員の作業費、備品の購入費内装工事業者の利益となる項目だ。一般的には内装工事費の10%程度が相場となる。
バー、バルの内装工事費を安くする方法とは?
内装工事費を安くする方法はいくらでもある。しかし、安くするという意味を取り違えてはいけない。仕上げのグレードを下げる。カウンターを小さくする。など目に見える部分でのコストカットでは意味がないということだ。
安いものは安いに決まっている。重要なのは内装デザインの価値をそのまま維持しながらどれだけコストを適正化できるかという点だ。この様な視点での内装工事費を安くする方法を下記に紹介する。
居抜き物件で内装工事費を安くする方法
居抜き物件とは、前テナントの内装仕上げや厨房機器や空調設備などが、そのまま残っている物件のことを言う。上述した見積書を見てもらえればわかる通り、設備工事費は内装工事全体の中で1/3位上を占める大きな工事だ。
この費用を下げることができれば内装工事費は大きく下がるだろう。しかし、気をつけなければならないのが譲渡料だ。譲渡料とは居抜き物件を契約する際に支払う残置物の購入費となる。
残置物が数ヶ月で壊れてしまい物にならないなど、譲渡料に見合うものであるかをしっかりと検証する必要がある。専門性が必要とされるので必ず内装工事業者等に物件を見てもらう様にしよう。
因みに譲渡料が不要な物件でも、工事完成後の取り替えは費用も高くなるので事前に見てもらうのが賢明だ。居抜物件については下記記事も参照頂きたい。
設計施工で内装工事費を安くする方法
内装工事を発注する方法は2種類ある。設計と施工を分離して別々の会社にする方法と、設計と施工を一体として1つの会社に発注する方法だ。
建築工事の様な規模の大きい物件の場合は、工事費全体に対する設計費の割合が低いので前者の方が安くなる傾向にあるが、内装工事の様な規模の小さい物件の場合は逆に設計費の割合が高くなので、全体の工事費は高くなる傾向にある。
一方、後者の場合は、設計費が不要というワケでは無いが、設計から施工までの一連の流れが1社の中で効率良く行われるので設計料を含めた内装工事費は前者と比べて安くなる傾向にある。
「内装工事業者にかっこいいデザインができるのか?」と思われるかもしれないが、社内にデザイナーを抱えている業者は多く、アーキクラウドでも提携している業者の殆どは社内デザイナーを抱えている。
複数の業者で見積りを比較する
最も効果的に工事費を安くすることができる方法だ。複数の業者に見積りを取り、競争原理を働かせることで、工事費は格段に安くなる。たった1社の見積りは「工事費は、お宅の利益を好きなだけだけ乗せて自由に決めて頂いてもいいですよ。」と言っているのと同然なのだ。
公共事業や民間企業の建築工事の殆どは入札という形で工事業者を決めている。この方法が工事価格を安くするのに適しているから他ならない。
アーキクラウドでは今まで多くのバー、バルの内装工事見積り比較サービスを提供させて頂いたが、その中では通常坪単価30万円以上かかるものが10万円台で実施できた事例もある。(下記参照)
アーキクラウドの見積り比較サービスはこちらより
「内装工事見積り比較/アーキクラウド」
最後に
内装工事について理解し、知識を付けることは、これからバーやバルをオープンしようとしている経営者にとってメリットは大きい。特に今回紹介させて頂いた、内装工事費を安くする方法は。すぐにでも効果がある方法なので是非実践して頂きたい。またバーにとって内装デザインは集客上非常に重要であることも忘れてはならない。あなたのイメージはもちろんのこと、経験豊富な内装工事業者の提案がなければ決して良いものはできないだろう。内装デザインについては下記記事を参照して頂きたい。まずは開業に向けてしっかりとした資金計画を練って頂きたい。