内装仕上げにおける加工木材の使い方と種類について
木材は内装工事で多用される仕上げ素材の1つだ。ナチュラルな傾向が好まれる現代において、有効な素材であり、加工木材を使えば安価で品質が高くコストパフォーマンスも良い。今回はこのように使い勝手の良い加工木材について解説していく。
加工木材とは何か?
一本の木から板や角材などの建築材料をそのまま切り出したものを「無垢材」という。木材本来の風合いやテクスチャが表現されるので高級料亭や寿司屋などのカウンターなどで使用されることが多いが、乾燥や吸湿による変形が激しいのが難点だ。
一方、適度なサイズでカットした板や角材を接着剤で貼り合わせて加工したものを「加工木材」と言う。乾燥や吸湿による割れや変形が少なく品質が一定で、無垢材と比べて安価で種類が豊富であることから、内装の仕上げで用いられる木材の殆どは加工木材と言っても良いほど多用されている。
細かく分類すると「合板」「LVL(単板積層材)」「集成材」「パーティクルボード」「ファイバーボード」に分けることができる。
加工木材の種類について
上述した5つの加工木材について詳しく説明していく。
合板とは板状にスライスした木材を繊維方向が交互になるように何層にもホットプレスを用いて張り合わせたものだ。こうすることで、方向による強度のバラ付を防ぎ、性能を安定させることができる。日本においてはベニヤ板とは合板と同等品として扱われている。
<LVL(単板積層材)>合板と同様に薄くスライスした木材を貼り合わたものだが、繊維方向を合わせる点が異なる。一定方向の力しか加わらない場所、例えばドア枠や家具などで用いられることが多い。
一定の大きさにカットされた角材を繊維方向を合わせて集積し張り合わせたもの。使用頻度は高く、テーブルなどの天板やカウンターなどで良く用いられる。また、強度を増したものは構造材としても使用される。
木材を粉砕し細かい粉状にしてから、接着剤と圧力で板状に成形し表面を研磨したもの。内部に空気層があるため、断熱性や遮音性に優れるため壁や床など下地 材として用いられることが多い。また安価で軽量であることから、家具などの既成品にも良く使われる。仕上げが不要なバックスペースなどではそのまま使われ ることもある。
木材の繊維を一度解体し、接着剤を混合したものを熱圧をかけて成形したもの。軽くて、異方性が殆ど無いという特徴がある。原材料は廃棄木材や低品質の木材であるため、安価で使いやすい素材といて普及している。インシュレーションボード、MDF、ハードボードの種類がある。
化粧合板とは何か?
化粧とは建築業界では仕上げのことを意味する。化粧合板とはつまり、合板を仕上げ材として、そのまま使えるようにしたもののことを言う。
仕上げの工程が不要で品質も一定に保たれることから、内装仕上げや家具に仕上げに多用されている。化粧合板には天然木を薄くスライスしたも「突板」と呼ばれるものを貼り付けたものと「木目プリント」を貼り付けたものの2種類ある。
当然ながら前者の方が、自然の風合いが残り高級感がある。後者は安価であるが、樹脂製製品であるため本物の木の風合いは無い。
内装仕上での加工木材の使われ方事例
まとめ
加工木材は内装仕上げを行う上で重要であることはご理解頂けたと思う。ただし、闇雲に木材を使えば良いというわけではない。木材をどのように内装に取り込むかは、お店のコンセプト次第だからだ。裕福層をターゲットとしているのに安い木目プリントの内装を使ってしまっては逆効果だし、一般庶民をターゲットとした店舗で高級な無垢材を多用しても恐らく内装工事費は予算オーバーとなってしまうだろう。いずれにしてもデザイナーや内装工事業者にコンセプトや内装のイメージをしっかりと共有してもらい、納得の行く提案をしてもらうことが必要となる。今回の記事を参考に内装のイメージを膨らませて頂きたい。