バー経営の年収はどれくらい?平均的な年収から年収アップのコツまで
「脱サラしてバーを経営する!」という夢を持っている方もいるでしょう。しかし、バー経営は飲食店です。経営がなかなか安定しない飲食業界では、決して簡単なことではありません。
バーを自分で経営すると、年収は一体どれほどになるのでしょうか?また、バーを開店するにあたって必要な資格は存在するのでしょうか?
ここでは「バー経営」をテーマに、バー経営の年収から具体的な内訳、開店にともなって必要な資格や届け出を説明します。また、バーの年収を上げるための考え方や、必要なスキルについても説明するので参考にしてください。
目次
バー経営の平均年収は200~300万円といわれている
見出しでズバリいっている通り、バー経営の平均年収はおおよそ200~300万円といわれています。しかし、これはさまざまな広さや客単価で経営しているバーがすべて計算に含まれているため、「じゃあ自分もバーを始めたらそれくらい儲かるのか!」というわけでは決してありません。
年収ももちろん重要ですが、バー経営は飲食店の部類に含まれるので大事なのはひと月当たりの収益です。
バーの月の収益は、「月の売り上げから、毎月かかるランニングコストを引いて求める純利益」によって決まります。年収200~300万円ということは、月に約17~25万円の純利益を出すことができれば平均的なバー経営ということになります。
純利益の求め方についてもう少し説明します。
・月の売り上げ
月の売り上げを予測する式は[客単価×座席数×回転数×営業日数]です。バーは飲みもの中心の形態なので、レストランなどのほかの飲食店より回転率は低くなり、客単価はほかの飲食店に比べて高くなることでしょう。
・ランニングコスト
毎月かかるランニングコストはさらに「固定費」と「変動費」に分かれます。「固定費」には家賃や電気水道代も含まれます。「変動費」は売り上げによって上下する費用のことです。たとえば売り上げが高ければ、その分多く使った原料費や水道代、光熱費は増加するので変動費に数えられるでしょう。
バー経営のために必要な資金と資格
次にバー経営を始めるための資格について説明します。調理のための免許などは必要ありませんが、必ず取得しておかなければならない許可などがあるので確認してください。
・食品衛生責任者
食品衛生法によって、「バーを含めた営業施設に必ず1人以上食品衛生責任者がいる必要がある」と定められています。食品衛生責任者の資格は食品衛生責任者養成講習を1日受講することで得ることができるので、それほど難しくはありません。
1日の講習を受けるだけで飲食店を始める資格を得ることができるので資格の面で苦労することはないでしょう。
・飲食店営業の許可
バーの店舗が完成する10日前くらいまでに必要な書類をまとめて保健所に提出し、飲食店営業の許可を取得する必要があります。
必要な書類は主に「営業許可申請書」「店舗の配置図」「(法人のみ)登記事項証明書」「(貯水槽や井戸水を使うときのみ)水質検査成績書」「食品衛生責任者の資格が証明できるもの」です。自治体によって異なる場合もあるので、必ず事前に自治体に問い合わせて調べておきましょう。
・営業深夜酒類飲食店営業
これはバーならではの事情になりますが、深夜0時を回ってもお酒を提供する店に必要となる届け出になります。バーを開く地域を管轄している警察署に「営業方法」「メニューの写し」「店舗内の平面図」「申請者の住民票」などを届け出る必要があるのです。
調べることや記入することが多く、開店前で忙しいのにもかかわらずかなり時間を奪われますので、専門の法務事務所などに代行してもらうとよいでしょう。
以上でバーを開店させる要素はそろいましたが、具体的にうまく店を経営し、バー経営で年収を上げるにはどのようなことをすればよいでしょうか?
バー経営で年収アップに欠かせないコミュニケーション力
「店を大きくしたい!」「長く続く店にしたい!」などのような目標は大切ですがどんな目標があっても、年収をしっかり確保する必要があるのに変わりはありません。ここからは、バー経営で年収を上げるのに役立つであろう考え方を紹介します。
・パレートの法則
パレートの法則とは、「売り上げの80%は、20%の常連客が作っている」という、ビジネスにおいて大事な考え方の1つです。顧客の中でたった2割しかいない常連客(リピーター)が、店の利益の8割をも担っているという考え方です。
仮にバー経営で考えてみたときに、「20%の常連客」はなぜそのバーの常連客になるのか分かりますか?おそらく店舗の内装と、マスターのコミュニケーション能力から生まれる、そのバー特有の空気感に惹かれていることは間違いないでしょう。
「バーのマスターのコミュニケーション能力」というと少し難しく感じますが、お客様の年代や性別に合わせて、時にはお客様から話を引き出し、時には思わず耳を傾けたくなるような自身のトーク能力のことだと考えてみてください。
たとえば、若いお客様は革新的な考えを持つ方が多い傾向があると仮定すると、自身の昔話よりも世間で新規性のある話のほうが耳を傾けてもらいやすいでしょう。
逆にお年を召したお客様はさまざまな経験からなる話のタネが多いと考えると、上手に話を引き出して過去の話や実績に相槌を打つような会話ができるといいかもしれません。
・内装やメニューも重要
さきほどの「パレートの法則」に当てはめれば、常連客を増やすにはそもそも新規のお客様を多く呼び込む必要があるでしょう。そのためには、入店するにはハードルの高そうな内装を避け、足を踏み入れやすい内装を作る必要があります。
また、色あいもバーの雰囲気を決める大事なポイントです。たとえば気軽に立ち寄れるような内装を作りたい場合、なるべく仕上げ材は明るいものを使用するといいでしょう。そしてインテリアは品質の高そうなものを選ぶと、明るい雰囲気のままバー特有のシックな雰囲気も演出できます。
また、年収アップにつなげるにはその立地周辺にあったメニューを提供することが重要です。その店舗周辺にはバーの売上にかかわる人たちがいます。
その人たちの年代や性別、流行などを知り、どのようなメニューを好んでいるかを調べて提供をすると効果的でしょう。
バー経営ではオープンなお店作りを心がけよう
バー経営をするにあたって注意点があります。それはなるべく閉鎖感を出さないことです。
さきほども触れたように、リピーターを増やさないとバー経営の年収は見込みにくいと考えられます。それを避けるためにも、店舗全体で入店しやすい雰囲気づくりを心がけるといいでしょう。
たとえば「知らないバーに入店したら、マスターと常連客がずっと話し込んでいてなんだか疎外感を感じてしまった……」そういった思い出を残してしまったら、その顧客はリピートする望みは薄くなります。
また、「バーは常連客とマスターのものだから一見さんでは入店しにくい」という考えを持つ人も少なくはありません。そのイメージを払拭する行動をとる必要があるので、たとえば、チラシを配布してみたり、近所付き合いをよくしたりして、評判を広げるのも有効かもしれません。
しかしそういったキャンペーンによって新規の顧客が増えても、リピーターが離れていってしまってはバー経営で年収を上げることはできません。リピーターにも特になるようなサービスを工夫したり、店内ではリピーターと新規の顧客に平等に接客したりといったことを心がけましょう。
まとめ
バー経営の平均年収はおおよそ200~300万円ですが、これはあくまで平均値です。これより多く売り上げを出す店もあれば、これより低い売り上げしか出せていない店もあるので、平均年収をあまり鵜呑みにしないようにしましょう。
バーを経営するには「飲食店営業の許可」と「営業深夜酒類飲食店営業」を届け出る必要があります。とくに「営業深夜酒類飲食店営業」は記入することと確認することが多いので、法手続きの専門事務所に依頼をするとよいでしょう。
バーの年収を上げるには、マスターの人生経験から裏打ちされたコミュニケーション能力が必要です。内装は新規のお客様が見込めるようにオープンな内装を心がけ、誰でも歓迎できるような接客をしましょう。