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クリニック、医院の開業資金、新規経営者のための4つ項目とは?

これからクリニック、医院を開業するあなたにとって最も重要なのは、開業資金がどの程度必要かといったことではないだろうか?開業資金が把握できていなければ、資金調達計画ができないし、物件探しや、内装工事についても本格的に動き出すことができない。

つまり、開業資金を把握することが、クリニック、医院を開業するためのスタートとなる。しかし、今まで勤務医として働いてきたあなたにとって、開業資金と言われても、想像できないというのが現実では無いだろうか?

この様な問題を抱えるあなたのために、今回は、新規経営者でも理解できるように、事例を踏まえながらわかりやすく解説させて頂く。

 

開業資金にはどの様な項目があるのか?

クリニック、医院における開業費を大まかに分類すると下記の4つに分類することができる。


・物件取得費
・内装工事費
・医療機器費
・諸経費

それでは下記にそれぞれ説明していく。

 

物件取得費とは?

開業する場所によっては、比較的大きな割合を占めるのが物件取得費だ。費用が大きくなる最も大きな原因は保証金にある。保証金とは物件契約時に物件オーナー預けておく資金のことで、家賃滞納や破損等のもしもの時に備えて、殆どの物件で請求されるものだ。

相場としては月額家賃の6ヶ月〜12ヶ月分程度が多く、何もなければ契約後に返還さる。

しかし注意しなければならないのが、返還の時期について色々と制約が多いという点だ。例えば、契約解除してから半年後や、次のテナントが見つかるまでなど、借主側にとって不利な条件であることが多い。

この当たりの条件は、契約書に記載されているので事前に記載内容を充分にチェックして、不満があれば訂正を求めてみよう。事前の確認無しで、保証金の返還費を使って2店舗目のクリニックの開業計画を進める様なことは決してしてはならない。

 

続いて必要となるのが、初回家賃だ。初回家賃とは、当月の日払い分と翌月の月額家賃を物件契約時に支払う形となる。家賃が発生するのは入居日からとなるが、内装工事が発生する場合は、工事開始日が家賃発生日となる。

内装工事が1ヶ月かかるとしたら、最低でもその期間は売上が無い状態で家賃を支払い続けなければならないので注意したい。

ただ、オーナーによっては内装工事期間は猶予をもらえる場合があるので、交渉してみるのもいいだろう。特に空室期間が続いている物件は交渉に応じてくれる可能性が高い。

 

続いて必要となるのが、仲介手数料だ。これは物件を仲介してくれた不動産屋などに支払うお金となる。一般の賃貸住宅でも必要となるので、理解しやすいだろう。通常は家賃の1ヶ月分を支払う形となる。

また礼金については、最近は不要な物件が多くなってきたが、殆ど場合が家賃の1ヶ月程度で済ませることができる。

 

物件取得費を計算してみる

それでは実際に物件取得費を算出してみよう。

条件
場所:新宿駅徒歩10分
面積:30坪(約100㎡)
家賃:60万円(坪単価2万円)

保証金
60万円×8ヶ月=480万円

初回家賃
60万円×1.5ヶ月=90万円

仲介手数料
60万円×1ヶ月=60万円

礼金
60万円×1ヶ月=60万円

<物件取得費合計>
480万円+90万円+60万円+60万円=590万円

 

内装工事費とは?

内装工事費とは、内装の仕上げや電気や空調などの各種設備類の工事費用のことを言う。わかり易く言えばば内装工事業者に支払う工事金額だ。

クリニックや医院の内装工事費用は一般的な内装工事費用と比べると若干高めになる。それは、医療機器のための建築側での設備の準備や、待合室や受付などではそれなりのグレードが求められるからだ。 通常の内装工事を行うなら、坪単価40万円程度は見ておいた方が良いだろう。

 

内装工事費を計算してみる

上記、条件30坪の場合の内装工事見積もり画像を下記に掲載したので参考頂きたい。

<内装工事費用>
1200万円

今回は坪単価40万円の想定としたが、実は内装工事費用を下げる方法はたくさんある。詳細は下記記事を参照頂きたい。

 

医療機器費とは?

医療機器費はクリニック、医院の開業費の中でも最も大きな金額となる重要な項目だ。機器類は購入先によって金額が大きく変わる。下記に購入先とそれぞれの特徴を記載したので確認頂きたい。

 

メーカー 医療機器は基本的には代理店から購入することが原則だが、メーカーとの繋がりがあれば、直接購入することも可能だ。その場合は代理店に入る利益が無くなるのでその分安く購入することができるメリットがある。
代理店 最も一般的な方法だ。代理店契約は様々な業態があり、専門の商社や薬品の卸会社、ディーラーなどがある。メーカーから仕入れた価格に代理店の利益が加えられるので、若干高くなる傾向がある。
中古品取扱い業者 中古の医療機器を使用するのであれば、専門の業者から購入するのが良いだろう。開業資金を抑えるにはベストな方法だ。しかし、薬事法により中古医療機器の販売には許可が必要となる。許可が無い会社から購入する場合は、保証が受けられなくなるので注意したい。

 

 

医療機器費を算出する

必要となる医療機器費用は診療科目によって様々だ。殆どの商品には定価が記載されていると思うが、他の業界と同様に実際には値引きされるため、定価より安く購入することは可能だ。

おおよそ定価の50〜60%程度価格で購入はできるだろう。下記に科目毎に必要となる機器について記載したので参照頂きたい。クリニック、医院の平均値としては坪当たり50万〜70万円程度の医療機器費用は準備しておいた方が良いだろう。

 

共通備品 診察用ベッド
患者用椅子
レセプトコンピュター
シャースカテン
オートクレーブ
カルテ棚
電話
コピー機
一般内科 電子内視鏡
超音波診断装置
解析付心電計
ホルター心電計
単純X線撮影装置
自動現像機
外科 電子内視鏡
内視鏡洗浄装置
リハビリ器具
超音波診断装置
解析付心電計
ホルター心電計
単純X線撮影装置
自動現像機
泌尿器科 X線撮影装置
前立腺切断鏡
超音波診断装置
尿流量計
膀胱内圧計
産婦人科 超音波診断装置
単純X線撮影装置
自動現像機
新生児監視装置
ラパロスコープ
産婦人科用診察台
分娩監視装置
分娩台
保育器
専用診察台
コルポスコープ
入院用ベッド
小児科 単純X線撮影装置
自動現像器
血液分析装置
顕微鏡
ベビースケール
整形外科 単純X線撮影装置
ギブスカッター
リハビリ機器
自動現像器
皮膚科 レーザー治療器類
顕微鏡
紫外線照射装置

 

 

<医療機器費>
30坪×60万円/坪1800万円

 

リースについて

リースとは、医療機器類直接購入するのではなく、リース会社が所有するものを借りるという形になる。初期費用が抑えられるメリットがある。

しかし、借り主にとってはデメリットとなる部分も多いのは事実だ。例えば、フルペイアウトと言って、リース会社が器量機器の購入に必要となった費用は必ず返済しなればならなかったり、途中解約ができない故障の修理費用は借主側で支払うなど、不利な条件が多い。

もし金融機関や日本政策金融公庫での借入ができるのであれば、そこで資金を調達して新品を買った方が良いだろう。

クリニック開業における諸経費とは?

諸経費とは開業において必要となる経費と考えていただければ問題ないだろう。例えば集客などの販売促進費などがそれに当たる。チラシの作成や配布、又は、ホームページの作成費用などだ。そして最も重要なのが、運転資金だ。

診療報酬は2ヶ月後に保険者より振り込まれることになる。つまり最低でも3ヶ月の運転資金は必要となる。また開業初期の段階では集客が思う通りにいかないことが想定されるため、できれば6ヶ月分を準備できると安心できるだろう。

 

諸経費を計算してみる

それでは実際の諸経費を計算してみよう。

運転資金(人件費、家賃、光熱費等)
200万円/月×4ヶ月=800万円

ホームページ作成費
60万円

チラシ作成、配布費用
10万円

その他諸経費
30万円

<諸経費合計>
800万円+60万円+10万円+30万円=900万円

 

クリニック、医院の開業資金合計

それでは上記で算出した各項目を合計してみる。

・物件取得費:590万円
・内装工事費:1200万円
・医療機器費:1800万円
・諸経費:900万円

合計:4,490万円

 

最後に

飲食店や他のサービス業と比べて、クリニックや医院の開業資金は高くなる。これは高額な医療機器が主な原因と言えるだろう。今回の開業資金シュミレーションを参考にして、あなたがこれからオープンするクリニックの参考として頂きたい。なお、開業資金における自己資金は30%程度が理想だ。つまり、それ以外の資金は他から調達する必要があるということだ。資金調達については下記記事を参照頂きたい。

「クリニック医院の融資等5つの資金調達方法について」

 

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