間接照明のデザイン手法とその効果及び事例の公開
間接照明は空間演出の方法として最もポピュラーな手法だ。特に、飲食店やサロンなどのサービス店舗などでは、客席や施術室などを薄暗くして、雰囲気をだすことが重要視されるが、そのような空間では、間接照明はその効果を遺憾なく発揮してくれる。
また、最近では住宅や分譲マンションなどでも用いられ、リビングや廊下など、癒やしや落ち着きの効果はもちろんのこと、グレード感を高める役割を果たしてくれている。
店舗オーナーとしてはこの効果を見過ごしてはならない。内装工事業者と協力して、あなたの店舗に取り入れていくことが重要だ。そのためには事例を知り体系的に学ぶことが必要となる。
目次
間接照明デザインとは何か?
まずは間接照明の定義をしっかりと固めよう。間接照明とは、光源から直接部屋などの空間に光を当てるのでは無く、壁や天井や床など、間接的なモノに反射させて空間に光りを導く手法だ。間接照明デザインとはその手法を駆使して空間に様々な効果を生み出す方法と言える。近年に様々な空間で使われるようになったが、決して最近になって生まれた手法ではない。昔から様々な建築で使われてきた。
間接照明デザインの起源はいつからあるか?
間接照明による空間のデザイン手法は古く日本建築の中で使われてきた。障子などはその良い事例だ。日光を直接部屋の中に入れるのでは無く、障子を介することで柔らかな光を部屋の中に導いてくれる。「陰影礼賛」の中で谷崎潤一郎が褒め称えた日本建築の美しい空間は間接照明が創りだしたものといっても過言では無い。
また、近代建築の巨匠ル・コルビュジエも晩年の作品において間接照明を多用している。ロンシャンの教会では分厚いコンクリートの壁に大小様々な無数の穴を開けステンドガラスをはめ込むことで、暗い教会に鮮やかに光を導き、幻想的な空間を演出している。
間接照明のデザイン手法と事例の公開
上述した様に間接照明には様々な手法と事例がある。反射させる箇所も壁、天井、床など様々だ。また、内装造作と一体化させて、それを含めた空間デザインも良く行われる。また間接照明は光源が見えてしまうと、空間の抽象度が一気に落ちてしまう。いかに光源を見えない様に工夫をするかといった点もデザイン上のポイントである。下記に事例を紹介する。
天井と壁の間接照明事例
オフィスのエレベータホールでの事例。扉の上部に壁から突き出す様な造作を設け、照明を仕込んでいる。当然ながら光源は人の目線からは見えない様に工夫がされている。カラー計画においても下部はダークな色合い、上部は白を基調とすることで、壁上部と天井に面に反射された間接照明の効果がより際立っている。
天井の間接照明事例
天井全体を照らすというよりかは、天井のコーナーに光を集中させて、天井を輪郭として目立たせる手法だ。当然ながら光源は見えない。
壁の間接照明事例
天井はアルミのパネル、壁は粗い仕上げの石だ。異なる素材を際立たせるかの様に間接照明を壁面にスポットライト的に照らしている。コンセプトはおもしろいが、光源が丸見えなのが残念。この倍は光源を仕込むスリットの懐を深くして光源を見えない様にすれば、空間の抽象度が高まり、より厳正な空間となったに違いない。
床の間接照明事例
住宅の玄関や廊下などでよく用いられる。空間演出の効果はもちろんのこと、足元を照らすことで靴を脱ぎやすくするなど機能的な効果もある。
間接照明のための光源とは?
間接照明を美しく見せるための手法として美しいラインを作る方法がある。途中で途切れてしまう様なラインはやはり美しくない。真っ直ぐに連続する光のラインこそ美しい間接照明と言える。しかし通常の照明器具を用いると接続部の関係で連続したラインを作ることは難しい。そこで利用したのが、シームレスラインの照明器具だ。接続部に工夫がなされているため連続した光を作ることができる。各メーカーで様々なタイプが準備されているので、間接照明を用いる場合は是非活用したい。
最後にまとめ
間接照明は上述した様に飲食店、サービス店舗、住宅にとって空間演出の大きなポイントとなる。しかし使い方を間違えると空間演出効果は無くなり、逆に見すぼらしいものとなってしまうことも注意したい。今回ご紹介した事例を基に、内装工事業者とも効果的な使い方をじっしくりと検討して欲しい。