飲み屋を経営したい!開業に欠かせない準備項目まとめ
「1人でも多くのお客様の笑顔を増やしたい」「接客業が好きだから」など、飲み屋を開業したいと考える動機は人それぞれでしょう。
しかし、自分のお店を持ちたいからといっても、事前準備なしに始めると倒産してしまうかもしれません。
倒産するリスクを少しでも減らすために、開業前にできる準備はたくさんありますので、可能な限りやっておくようにしてください。そこで、この記事では飲み屋の開業に欠かせない準備について紹介します。
目次
飲み屋を開業するメリットとデメリットは?
飲み屋を経営するメリットとしては、「利益幅が大きい」ことが挙げられます。
一般的な飲食店の利益率は10~15%程度であるといわれていますが、飲み屋の利益率はそれよりも高くなる傾向があります。
たとえば、ビールの大瓶1本における仕入高は250円程度ですが、お客に提供するときの値段は500円程度になります。
利益率の算出方法は「営業利益(売上高-仕入れなどの経費)÷売上高×100」で計算されるため、この場合は「(500-250)÷500×100=50%」です。
厳密には経費に人件費や光熱費などを加えて計算しなければいけないので利益率はもう少し落ちてしまいますが、それでも一般の飲食店よりは高くなることが多いようです。
また、お客から現金で支払われるケースが多いため、「売上をその日のうちに回収できる」という点もうれしいポイントです。
決められた期日までに後日支払いを行う卸業のような掛取引はほとんどないため、資金効率が良く、開業時の運転資金が比較的少なくてすむのもメリットでしょう。
一方で、デメリットとして挙げられるのは、厨房設備や電気工事などで、ある程度まとまった開業資金が必要になることです。
さらに職業柄、深夜まで働かなければならないため体力的にキツイことや、酔っ払いへの対応も求められます。
その他にも、万が一でも食中毒を出してしまったら、営業停止処分が科されるなどの大きな痛手を負う可能性もあるということは覚えておいてください。
飲み屋を開業するのに必要なスキルは?
飲み屋などの飲食店を開業するときに「調理師免許がないと開業できない」と思っている人も多いのですが、実はu調理師の資格を持っていなくても開業はできます。
調理師とは、その名称を用いて業務に携われる国家資格です。
免許があると安全な料理の提供が保証され、味のレベルやお客へのアピールになりますが必須ではないのです。
かわりに必要な資格は、「食品衛生責任者」です。名前だけを聞くとハードルが高い資格のように思う人もいるかもしれませんが、実際には取得できる機関に行って講習を1日受けたあと、自治体に申請するだけの簡単なものです。
難しい試験などはないので、開業を予定している人は早めに受講しておくとよいでしょう。
ただし、調理師資格の必要性がないといっても、メニューに並ぶ料理を調理するスキルやお酒に関する知識は当然求められます。
店舗の規模とスタッフの人数にもよりますが、注文を受けたメニューを提供するまでに時間がかかってしまうとお客の満足度が低下してしまう可能性があるので、正確かつ素早い調理スキルを持つことも大切です。
すでに調理師や栄養士の資格を取得している人は、自治体や保健所による講習を受けなくても食品衛生責任者になれるので、開業までの手続きがスムーズに進むでしょう。
飲み屋開業に必要となる資金はいくら?
居酒屋の開業で必要な資金は平均して600万円程度だといわれています。ただし、どのような物件や設備で開店するかによって大きく変わります。
なるべく抑えたい人は200万円程度、こだわりがある人なら1000万円程度が必要です。
開業時の必要経費には「物件費」「広告費」「運転資金」などがあります。
このなかでも、物件の取得や改装にかかわる物件費が占める割合は大きいです。
物件費を抑えるためには立地を見直すことも重要ですが、それに加えて居抜き物件を狙う方法が有効でしょう。設備費や内装工事費も含まれるので、大幅なコストカットが図れます。
また、開業したての店舗を周辺住民へ周知するための広告費も重要な経費です。
チラシを作って街頭で配るのもよい方法ですが、ホームページを作成してアピールしたほうが費用対効果は良いというケースが多いので検討してみてください。さらに忘れてはいけないのが運転資金です。
十分に準備しておかないと、開業後の仕入れに影響する可能性があります。参考までに1000万円程度の開業資金を準備できる人は、運転資金で500万円程度を用意している場合が多いです。
開業する店舗の規模にもよりますが、開業資金の半分程度を運転資金の目安にしてみてください。
飲み屋を開業するための手続き
飲み屋ではお客に飲食物を提供するため、衛生面が一定以上の基準をクリアしないと開業できません。
それを証明してくれるのが、保健所で申請可能な「飲食店営業許可」です。
店舗を管轄する自治体のルールを満たさなければならないため、近隣に他の自治体の保健所があったとしても、必ず店舗所在地を管轄する保健所に行くようにしましょう。
また、申請を出す際は事前に相談しておくとスムーズに許可が得られます。
チェックするのは厨房の衛生環境、シンク・手洗い場・冷蔵庫・食器洗浄機・オーブンをはじめとした厨房機器などの設備状況をチェックしましょう。
また、客席と厨房がきちんと分かれているかどうかといった項目なので、事前相談をする場合は不動産屋からもらう店内の図面でいいので持っていくようにしてください。
さらに、お店には不特定多数の人が出入りするため、火災のリスクも考慮しなければなりません。
収容人数が30人を超える店舗で開業する場合には、「防火管理者選任届」を消防署に提出する必要があります。
そのためには、事前に各地の消防署で講習を受けなければいけません。収容人数にはお店で働いているスタッフも含まれるので気をつけてください。
たとえば、店の収容人数が25人で働いているスタッフが5人いる場合は「30人を超える」と判断されます。
飲み屋を開業する2つの方法
飲み屋を開業するときの形態としては「自分で店舗を持つ」「フランチャイズで開業する」の2つがあります。
自分で店舗を持つことのメリットとしては「自分の思い通りのお店が実現できる」ことです。物件の立地やターゲットにする客層、お店の内外装といったハード面だけでなく、メニューや雰囲気といったソフト面も自分好みにできます。
お客に気に入られて繁盛することは、飲み屋を開業する醍醐味の一つだといえるでしょう。また、自分で店舗を持つほうが利益率は一般的に高くなります。
料理やお酒の提供価格は仕入れコストの2倍、3倍にすることもできますし、フランチャイズで支払わなければいけない加盟料やロイヤリティといった出費もありません。
ただし、自分で開業するためには開店準備のすべてを自分で行う必要があります。
また、フランチャイズと違って知名度が高くないので、開業後の経営がしばらく苦しくなるかもしれないこともデメリットです。
フランチャイズで起業する場合のメリットは開業準備が楽であることと、知名度が高いため、開業当初からそれなりの集客が見込める点です。
それ以外にも本部は経営に関するノウハウをもっているので、駆け出しのオーナーにとってはありがたいアドバイスをもらえる場合もあるでしょう。
デメリットは、ロイヤリティや加盟料をとられるため利益率が下がることです。
提供するメニューや価格も基本的には本部からの指示に従う形になりますので、自分の思い通りの経営ができないもどかしさを感じることもデメリットだといえます。
飲み屋開業を成功に導くポイント
毎年、数多くの飲み屋が開業しますが、すべてのお店が成功するわけではありません。
成功に導くためには、コンセプトをきちんと決めることが重要です。
とはいえ、「こんな感じのお店にしたい」というようなあいまいなものではいけません。
「出店エリア・メニュー・ターゲット・売り方・スタイル・価格帯」といったさまざまな要素に対して細かく決めていきましょう。
たとえば、「サラリーマン向けに安い価格のメニューで勝負したい」というケースでは、オフィス街に出店する必要がありますし、回転数を早くしなければいけないので、立ち飲みスタイルも検討するべきです。
飲み屋といってもさまざまな形態がありますので、まずは自分のやりたい店舗をしっかりとイメージすることから始めてみてください。
コンセプトが決まったら、それに合う地域を見つけて物件を探します。
たとえば、人通りの多い道路沿いの物件はお客が多く入りやすいですが、家賃も高いケースが多いです。
一方で、人通りの少ない通り沿いの物件は家賃が安い傾向にあります。
そのため、高級志向の料理やお酒、サービスを提供するコンセプトにすれば、1人あたりの単価を上げて勝負できるでしょう。
ただし、いくら良い物件に巡りあえてもすぐに契約してはいけません。周辺に競合店がある可能性があるからです。必ず周辺の飲み屋情報を集めてから、慎重に契約するようにしましょう。
飲み屋開業のために資金調達や手続きを進めよう
飲み屋の開業は他の飲食店と比べても利益率が高い傾向にあります。
また、現金での決済が多いため、資金効率が良く回転も早いです。
一方、開業にあたって設備費が多くかかることや、営業時間が深夜におよぶこともあるので体力的につらいことがデメリットだといえます。
開業に必要な準備としては「食品衛生責任者」や「飲食店営業許可」などが必要です。
いずれも、取得するのはそれほど難しくありませんが、ないと開業できません。
開店時期から逆算して余裕を持って取得するようにしてください。
また、成功する飲み屋を開業するためには、コンセプトをしっかりと決めましょう。
コンセプトに沿ったメニューの考案や物件選びを心がけてください。
お店の雰囲気も客足に大きく影響しますので、内装や設備などもコンセプトにそって考えることが肝心です。
飲み屋を開業するまでにはさまざまな準備が必要ですが、自分の思い通りのお店が作れるという点ではやりがいを感じられるともいえます。
理想の店舗を作るためにも、計画性をもって準備を行ってください。