事務所、オフィスの開設費用の相場と安くする方法を公開します
これから起業し、新たにビジネスを始めようとする新規経営者にとって、オフィス、事務所の開設費用は必ず知っておかなければならない重要な項目だ。
特に初期においては大きな資金が必要になるため、今後の経営にも大きな影響を与えることになるだろう。しかし、今まで自分のビジネス構築に時間を費やしてきた新規経営者にとって、開設費用と言われてもイメージがつかないというのが本音ではないだろうか?
この記事では、オフィスを開設する上で必要となる資金についての詳細を分かり易く、そしてできるだけ短期間に理解できる様に解説させて頂く。
目次
事務所、オフィスの開設資金の特徴とは?
事務所の開設の費用は、その他の業種例えば、飲食店やサービス業店舗に比べて安くなる傾向がある。その最も大きな原因は内装工事費だ。
飲食店の場合、内装工事費用は坪単価30万円以上が相場だが、事務所、オフィスの場合は、坪単価20万円台が平均的な金額となる。面積にもよるが、100万円以上の差が生ずるのである。それでは実際にどの様な費用が必要となるのか?各項目別に検討していこう。
物件取得費について
物件取得費とは、テナントを借りる際に必要となる初期費用のことを言う。その中でも最も大きな金額となるのが「保証金」だ。保証金とは、賃貸契約を結ぶ上での保証として、オーナー側に預ける費用の事を言う。
当然ながら契約終了後は借り主へ返却されるものではあるが、物件によっては、契約終了後すぐに返却されなかったり、次のテナントが決まるまで返却されないなど借り主にとって不利な条件となることがあるので注意したい。相場は月額賃料の6ヶ月〜12ヶ月だ。
続いて大きな金額となるのが、初回家賃だ。契約時に支払う家賃のことで、当月の日払い分と翌月分の賃料が必要となる。家賃発生日は内装工事開始日が通例となる。
つまり、内装工事期間(通常1ヶ月程度)は収入が無い状態で、賃料を支払わなければならないので注意をしよう。但し、オーナーによっては、入居日を家賃発生日にしてくれることもあるので、交渉してみるのも良いだろう。
続いて、必要となるのが、仲介手数料だ。これは賃貸住宅の場合でも必ず必要で、一般的な支出なので理解し易いだろう。家賃の1ヶ月分を仲介業者に支払うことになる。それでは各費用を算出してみよう。
条件
渋谷駅徒歩10分、面積30坪、賃料60万円(坪単価2万円)
保証金
60万円×6ヶ月=360万円(6ヶ月を想定)
初回家賃
60万円×1.5ヶ月=90万円
仲介手数料
60万円×1.0ヶ月=60万円
物件取得費合計
360万円+90万円+60万円=510万円
内装工事費について
続いて内装工事費について。内装工事費については上述した様に、一般的に坪単価20万円程度の費用を見ていれば問題ないだろう。特に事務所の場合、グレードによる差も出にくいので、どの様なケースでもブレは少ない。
内装工事費用に関しては下記記事にまとめているので詳細はこちらを確認して頂きたい。仕様を下げずに工事費用を下げる方法など、プロならではのノウハウが満載なので、一読して頂きたい。
「事務所、オフィスの内装工事費用の坪単価、相場感を見積書で解説」
内装工事費合計
30坪×20万円/坪=600万円
備品、その他経費
備品について、最も大きな割合を占めるのが、机、椅子、キャビネットなどの家具類だ。家具はグレード差が大きく、レイアウト計画と配置込みで、一人あたりの費用は20万円〜60万円程度と幅がある。
更に安く仕上げたいのあれば、IKEAなどの量販店で自分で探してきて配置すれば、一人当たりの単価は5万円程度まで下げることも可能だ。その他経費については、ホームページ作成費用や、その他小物備品類などの購入費用がそれに当たる。
備品、その他経費合計
20万円×7人=140万円(家具費用)
60万円(ホームページ作成費用)
10万円(小物備品類)
合計:210万円
開業費用合計
今回の条件によると開業費用の合計は、
510万円+600万円+210万円=1320万円
という結果となった。
事務所の開設費用はどの様に調達すれば良いか?
上記で検討した様に事務所の開設費用は決して安くは無い。全ての資金を今までの貯蓄で準備するのは難しいだろう。しかし、開設費用の50%程度は自己資金で調達するのが良いと言われている。最低でも500万円程度は準備をしておきたい。
では、残りの50%はどうすれば良いのか?両親や友人から借りるという方法もあるが、最も一般的な方法は借り入れだ。下記にその詳細を記載する。
日本政策金融公庫から借り入れ
日本政策金融公庫とは国が運営する機関だ。比較的融資が下りやすく融資条件が厳しくないため、新規に事務所を開設する場合、重宝されている。
特に「新創業融資制度」は最大で準備資金の10倍もの融資を、保証人及び担保無しで借り入れ可能だ。特に、まだ民間の金融機関との繋がりが無い場合は、是非利用したい融資元だ。
民間の金融機関から借り入れ
民間の金融機関とは銀行やノンバンクのことを言う。新規経営者の場合、実績がなければ借り入れは厳しいだろう。但し、法人成りで、個人事業主の時にある程度実績があれば問題は無い。
日本政策金融公庫の場合、借り入れの限度額があるが、民間の場合は、信頼関係が構築できれば限度額は特に決まっていない。事業を拡大する時など大量の資金が必要となる時は是非とも利用したい時は民間の金融機関からの融資が必要となるのだ。
いづれにしても、黒字経営、毎月の返済をしっかりと行い、銀行との信頼関係が構築することが重要だ。
地方自治体の制度融資で借り入れ
地方自治体と地元の金融機関による融資制度となる。他の借り入れ先と比べて金利が圧倒的に安いのが特徴だ。ただし、自己資金の2倍までしか融資を受けることができない。また手続きに時間を要するというデメリットがある。
よって自己資金が豊富にあり、時間にも余裕がある場合は是非ともチャレンジして頂きたい制度である。
事務所の開設費用を安くする方法と?
事務所の開設費用を安くするためには、上述した通り、全体費用の80%以上を占める「物件取得費」と「内装工事費」をいかに抑えるかがポイントとなる。下記にその方法を記載する。
物件取得費を安くする方法
物件取得費で大きな割合を占めるのが保証金だ。実は保証金が無い物件は数は少ないがある。また保証金が6ヶ月以下という物件も実際にはある。
しかし、築年数が古くて人気が無い、保証会社に加入必須、など諸条件が多いので注意したい。いずれにしても、起業したての頃はできるだけ初期費用を抑えることを優先するべきだろう。
保証金が無い、若しくは少ない物件の探し方は、通常の物件検索サイトで検索することもできるが、その様な物件のみを専門に扱うサイトもあるので、一度利用してみるのも良いだろう。
内装工事費を安くする方法
内装工事費を安く抑えるために最も有効な方法は、複数の業者に見積比較を行う方法だ。競争原理を働かせることで内装工事費用は確実に安くなる。
アーキクラウドの実例を下記に記載するので参考にして頂きたい。通常坪単価20万円が相場となるが、2社とも坪単価10万円台の金額が提出された。案件受注のために最低限の利益のみを乗せて努力した結果だ。
また工事金額全体としては、100万円以上の差が出ている。見積比較は無料提供させて頂いているので是非試して頂きたい。
最後に
今回の記事で、事務所、オフィスの開設費用の相場感が掴めたのではないだろうか?また、これらの費用を抑える方法についても解説しているので是非実行に移して欲しい。起業間もない頃は、大きな費用とエネルギーを消費することになるが、全ての起業家が通る道でもあるので、決して諦めずに、あなたのビジネスを成功させるために努力を続けて欲しい。