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パン屋の開業で失敗!ありがちな失敗と対処法

パン屋に憧れて開業を目指す人は少なくなく、女性の開業者も増えてきています。ところが、憧れだけで成功するほど、パン屋は甘い職業ではありません。

パン屋を開いたものの失敗してしまうケースには、いくつかの共通点がみられます。ありがちな失敗の原因を知って対応策を立てておけば、開業で失敗するリスクを減らすことができるでしょう。

パン屋の開業で失敗する理由とは、どのようなものなのでしょうか。

パン屋は稼げる業界?

食の欧米化が進み、いまやパンは米のご飯に引けを取らないほど身近な食べ物になりました。コンビニやスーパーマーケットなどで、安く美味しいパンが買えるようになったことで、パン業界の競争率は激化しています。パン屋を開業するリスクも、低くありません。それでも、パン屋を目指す人は後を絶ちません。パン屋はもうかる職業なのでしょうか。

2016年の国税庁の調査によると日本の平均年収は420万円程度です。一方、パン屋の平均年収は350万円ほどであり、決して所得水準の高い職業ではないことが分かります。これに加え、小麦粉やバターなどパンの原材料の高騰が、パン屋の経営をさらに難しくしています。

小麦の高騰には、さまざまな要因が絡んでいます。その一つが、地球温暖化対策の一環として期待が高まっているバイオ燃料の需要拡大です。バイオ燃料の原料となるのが、とうもろこしやナタネ、さとうきびなどです。アメリカを中心に小麦畑からさとうきび畑などへの転作が進み、小麦の生産量が減少しています。また、異常気象の影響も小さくありません。干ばつや巨大台風などが原因で、小麦生産量は世界的に縮小傾向にあります。ところが、開発途上国などで食の欧米化が進み、小麦の需要が高まっているため、小麦価格は上昇の一途をたどっています。

日本では、輸入小麦は国が一括で購入して製粉メーカーに売り渡しています。国産小麦の生産量も増えてはいますが、輸入小麦との兼ね合いで価格調整が行われており、安い小麦を入手することが難しいのです。そのため、小麦を主原料とする製造業や小麦製品を扱う飲食店は、厳しい状況に置かれています。

問題は、小麦だけにとどまりません。バターや砂糖、脱脂粉乳など、パンの原材料はいずれも価格が上昇しています。しかし、原材料が上がったからといって、安易に販売価格を引き上げることはできないので、利益率が低くなりがちです。つまり、ただ単に稼ぐことを目的にするなら、パン屋を選ぶのは賢い選択肢とはいえないでしょう。

パン屋は稼げる業界?

パン屋開業の成功確率は?

パン屋は、個人事業として開業するのが一般的です。ところが、個人事業を始めて1年後に生き残っている割合は、62%ほどといわれています。3年間にはその割合は38%程度まで減少します。すなわち、3年以内に60%以上の個人事業が廃業していることになります。パン屋で成功する確率も、決して高くありません。

パン屋の開業には、通常1000万円~2000万円程度の資金が必要です。これを自己資金で用意できない場合、日本政策金融公庫などから融資を受けることになるでしょう。ところが、3年で廃業してしまったら、ばく大な借金だけが残ってしまう事態にもなりかねません。だからこそ、失敗しないための対策が必要になってくるのです。

そもそも、このような多額の開業資金は、どんな用途に使われるのでしょうか。

パン屋は、開業資金に占める厨房設備費と内装工事費の割合がとくに高い事業として知られています。このうち、厨房設備は、店舗面積の50%ほどを占めるパン屋の中核的な施設で、業務用パンオーブンや業務用ミキサー、発酵器や冷蔵庫などが含まれます。これらの設備は購入するかリースによってそろえることになるでしょう。リースなら初期費用や不要になったときの処分費が発生しませんが、全体でみると購入するより多くの費用がかかります。また、途中で解約すると違約金が発生し、所有権がないのもネックです。しかし、すべて新品で購入するとなると1000万円以上かかることもあるので、状況に合わせた判断が必要です。

一方、内装工事では客層に合わせたデザインにすることがポイントになります。その客層を把握するために、開業前に市場調査やテスト販売などを実施するのも良い方法です。

開業にはそのほか、物件取得費やチラシ作成費、ホームページ作成費なども必要です。意外と忘れがちなのが、水道光熱費や仕入れ費用、人件費などの変動費です。これらの費用をすべて洗い出し、綿密に事業計画を立てたうえで、パンの価格設定をしていかなくてはなりません。ところが、「なんとかなるだろう」と安易に考えて、パン屋の開業に踏み出す人も少なくありません。そのような計画性のない開業では、失敗の確率が上がります。

パン屋開業の成功確率は?

パン屋を開業しても失敗する理由とは?

パン屋が廃業に追い込まれるのは、運転資金が不足するからです。その理由として、経営知識の不足や集客の失敗などがあるでしょう。

パン作りに関してはスキルや知識があっても、経営については詳しくないという人も多いものです。理想のパンを追求するあまり、高価な原材料を使って採算が取れなくなったり、予想していなかった出費に苦しんだりといったケースもみられます。開業前に、しっかりした事業計画を立てておけば失敗のリスクを減らせます。

また、集客の失敗もよく見られます。顧客が集まらない理由としては、店の立地が悪いことや、競合店との差別化ができていないことなどがあります。美味しいパンを売るのはパン屋なら当たり前のことなので、それで満足しているのでは不充分です。その店でしか味わえない魅力を打ち出して差別化を図ることが重要です。しかし、せっかく差別化を図っても、誰もそれを知らなければ意味がありません。そのため、SNSなどを活用した宣伝活動や、魅力的なイベントの開催なども求められるでしょう。

フランチャイズ加盟店の場合、フランチャイズだから成功率が高いと安心するのは危険です。フランチャイズ店のメリットとしては、認知度が高く利用客に安心感を与えられることや、自ら宣伝活動をする必要がないことなどが挙げられます。しかし、パンが買える店は非常に多く、お客様は常にほかの店と比べています。店舗の内装やインテリア、接客態度や清潔感、価格や味などといったさまざまな要素のうち、どれか一つでも不満を感じるだけで、お客様が離れて行く可能性もあるのです。

パン屋を開業して失敗しないためのコツ

パン屋を開業して失敗しないためのコツ

ハードルが低いとはいえないパン屋の開業ですが、それでもパン屋を開きたいと考える人はいます。パンにはロマンや夢があり、パンを通じて実現できることも少なくありません。小麦アレルギーの子どもでも食べられるパンや、地元の特産品を利用したパンなどの話題を耳にしたことのある人もいるでしょう。

では、パン屋を成功させるためには、どんなことを心掛ければ良いのでしょうか。まず一番の基本は、「パンを好きになること」です。パンは自宅でも作れる身近な食べ物です。それだけに、パン屋を開業する人のなかにはパン作りを安易に考えて、従業員任せにする人もみられます。しかし、パンが好きでなければ、美味しいパンを作ることはできません。新製品の開発で良いアイディアが生まれるのもパン好きであればこそです。そもそも、パン屋の経営は簡単ではないので、パンが好きだという情熱がなければ、苦難を乗り越えていくのが難しくなります。

次に大切なのは、個性のあるお店を意識することです。パンを売る店は大変多いため、そこでなければ買えないパンや、そこでなければできない体験を提供しなければなりません。味で差別化が図れないなら、立地や店舗の雰囲気がカギになってきます。

そして、経営者として強い自覚を持つことも重要です。いくら美味しいパンが作れても、採算が取れなければ職業として続けることはできません。パンの知識だけではなく、経営にかかわる知識も貪欲に吸収することが求められているのです。

同様に、マーケティング知識やIT関連の知識も不可欠です。市場調査や顧客分析を通して地域のニーズを読み取り、ニーズにマッチしたサービスを提供する必要があるからです。客層を明確にすることは、マーケティングの基本です。地域に子育て世帯が多ければ、ファミリー層向けのサービスを取り入れるのも良いでしょう。また、若い男性が多いなら、ボリューム感も必要になってきます。若い女性のなかには、インスタ映えを求めるなど、味よりも雰囲気を重視する人も少なくありません。客層を意識してはじめて、そのニーズにあった商品をそろえたり、内装やインテリアを整えたりすることが可能になります。

地元密着型のパン屋の場合、近所の人がそのまま客層になるケースも多いため、地元の人とコミュニケーションを取ることは非常に重要です。うまくコミュニケーションが取れて固定客にすることができれば、経営はぐっと安定するでしょう。また、店舗の前に行列ができるなどの近隣トラブルに発展したときにも、コミュニケーションが取れていれば大ごとにならずにすむものです。

パン屋を開業して失敗しないためのコツ

失敗の可能性を押さえてパン屋を経営しよう

パン屋の開業で失敗しないコツは、失敗する原因を知って対策を採ることです。とはいえ、効果的な対策を採るには専門外の知識やスキルが求められることもあるでしょう。そんなときには、セミナーに参加して基礎知識を身につけたり、専門家などにコンサルタントを依頼したりするのも一つの方法です。

パン屋は激務なうえ、薄利多売なビジネスなので、いかに固定客をつかみリピートしてもらえるかがポイントになってきます。そのカギは、顧客管理とリサーチ力にあります。そのエリアにどんなニーズがあるのかを把握して、それを満足させるサービスを提供するよう心掛けましょう。地元密着型のパン屋の場合、地元の人がメインターゲットとなる確率が高いため、地域の特徴にマッチした愛される店舗作りを目指したいものです。

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