ラーメン屋の内装工事費、坪単価について新規オーナーなら知っておきたい相場観について
これからラーメン屋をオープンする新規経営者にとって、内装工事費用は大きなポイントになる。何故なら内装工事費は開業資金の50%以上を占める重要な項目だからだ。内装工事費を抑えることで、開業後の経営は楽になるだろう。
しかし、内装は専門的な分野であるため、素人が理解しようとしてもなかなか難しいの現実だ。特に見積書は難解であるため理解に苦しむだろう。そこで今回は、相場感を掴んでもらうために事例を踏まえて分かり易く説明させて頂く。
ラーメン屋の内装工事費はどの程度かかるか?
内装工事において、経営者であるあなたが身に付けるべきは、内装工事の見積書に書かれている工事項目と相場感の把握だ。これがわかれば、内装工事業者から提出された見積りが高いか安いかをご自身で判断できる。
ラーメン屋の場合、一般的に内装工事費用は坪単価30万円以上必要と言われている。20坪の店舗で考えると、600万円程度の計算となる。では、実際の見積書の中身を解説してみよう。
記載されている工事項目とそれに対する金額は一般的なものと考えて頂いて問題ないだろう。まずはそれぞれの工事項目について、簡単に説明するので理解を深めて頂きたい。
仮設工事とは、工事をするための準備費用と考えて頂ければ良いだろう。例えば、建物外壁にパイプ足場が組まれているのを見たことがあると思う。これは、外壁設置の工事をするためスペースであり、代表的な仮設工事と言える。
内装工事の場合は、塗装工事などで、他の部位に塗装がつかない様にマスキングテープで養生するが、これも仮設工事の一部だ。
内装仕上げ工事は、文字通り、床、壁、天井の仕上げ工事とことを言う。ラーメン屋の場合、坪単価で言うと15,000円〜30,000円程度が相場となる。もちろんグレードによって単価は変わってくる。下記によく使われる床、壁、仕上げの素材とグレードについて記載したので参考頂きたい。
- 壁
- 床
造作工事とは、大工が現場で直接作業して作成する造作物のことを言う。ラーメン屋の場合はカウンターや造り付けの棚や台がそれに当たる。カウンターにも様々なグレードがある。
無垢材は高級感を演出できるがその分費用は高い。特にこだわりが無いのであれば集成材や樹脂製のものを採用するのが無難だ。しかしあまり安すぎるものを採用してはいけない。
カウンターはお客様の目に最も触れる部分となるため、それなりの演出は必要だ。必ずサンプルを提示してもらい、素材感のチェックは必須となる。
ラーメン屋の場合、ガラス工事は店舗外観の素材として使用すると考えていただければ良いだろう。しかし、気をつけなければならないのは、ガラスは建築素材の中でも最も高価という点だ。
むやみやたらと使うと思わぬ費用が必要となるので、最小限に留めるのが建築業界の常識となっている。
ラーメン屋の場合は、集客用に外から店舗の中が覗ける機能があれば良いので、小さな窓程度のガラスが設置されていれば問題はない。
建具工事とは、窓や扉などの開口部に設置するサッシやドア枠の工事のことを言う。ラーメン屋であれば、こだわりを見せるのは外観エントランスの扉ぐらいだろう。
その他、スタッフルームと客席の扉などは一般仕様のものを活用すれば内装工事費用にそれほど大きな影響はない。また、自動扉にする場合は、値段が大きく上がるので注意したい。
片引きのものであっても最低200,000円以上の費用は必要となる。今回の見積りも自動扉を採用したことで、値段が高くなっている。
電気工事費は分電盤の設置や供給元への配線、コンセントの設置、照明の設置がそれに当たる。残念ながら電気工事費を大きく下げるのは難しいだろう。但し、居抜き物件で既に照明設備が揃っているのであれば電気工事費は下げることができる。
空調設備工事は空調設備機器の設置工事のこと言う。空調設備とはエアコンのことだ。エアコンに室内機と室外機があり、それらをつなぐのが冷媒管というものだ、この冷媒管の設置も空調工事に含まれる。
屋外機置き場が屋上にある場合は、冷媒管も長くなり、エアコンの出力も高くなければならないので値段が高くなる傾向にある。物件オーナーとも相談してエアコン置き場の位置を再検討することで、空調工事費も安くなる可能性がある。
衛生設備工事はトイレの便器や洗面所の洗面器などの設置工事だ。トイレが共有のテナントの場合はもちろん不要となる。ということは、トイレが共用部にある物件であれば内装工事は安くなるということだ。今回の場合、200,000円もの金額が安くなるということになる。物件探しの時は是非とも気をつけて頂きたい。
給排水設備工事は給水管や排水管の工事となる。ラーメン屋の場合は、厨房排水管にグリーストラップを設置するなど費用は高くなる傾向にある。厨房部分が床が下がっていないなど、テナントが厨房対応していない場合は、思わぬ費用がかかるので注意したい。物件選びをする際は厨房部分のみ床が下がっている物件を選ぶのが賢明だ。
サイン工事は外観の看板工事のことだ。サインも様々なグレードあり、それぞれ値段が異なる。立体的で重厚感をつけるなら箱文字良いが値段は高くなる。シャープな印象としたいなら切り文字が良いだろう。値段は前者より安くなる。カッティングシートは金属版にプリントしたシートを貼り付ける方法で価格は最も安い。
また照明についても内照式にした場合は値段が高くなるが、外照式にすれば安くなる但し、照明が外部に露出するのでデザイン的にはイマイチだ。今回の見積りは箱文字、外照式での価格となる。
雑工事は上述した工事以外の工事のことを言う。例えば引き渡し前の清掃も雑工事に含まれることが多い。
諸経費は現場管理費用や事務費用などが含まれる。業者によって異なるが、相場としては内装工事費用の10%〜20%になることが多い。今回もおおよそ10%程度に収まっている。
内装工事費を安くする方法とは?
内装工事費用を安くするポイントとして設備工事費をいかに低く抑えるかという点がある。上記見積りを見ればわかる通り、設備工事は全体の30%以上の費用がかかる。
しかし、設備工事はグレードの変更だけではなかなか費用は下がらない。最も効果的な方法は既存の設備を利用するという方法だ。そのためには居抜き物件を活用するのが良いだろう。居抜き物件については下記記事を参考頂きたい。
その他の方法としては複数の業者で見積り比較をする方法がある。実はこの方法が最も効果的に工事費を下げる方法だ。競争原理を働かせることで、内装工事業者は利益を削って最低限採算がとれる金額で見積りを出してくれる。
下記にアーキクラウドの見積り比較サービスを利用した実例を記載する。通常であれば30万円/坪以上の金額が必要となるが、見積り比較することで坪単価で10万円/円以上安くすることに成功している。
内装工事契約前の注意点とは
内装工事の契約前に是非とも注意して頂きたい点がある。それは工事価格の支払い日だ。通常、工事前に工事金額の半金を支払い、工事完了後に残りの金額を支払う形になる。
しかし金額を大きい場合(例えば1000万円以上の時など)半金といっても500万円以上の金額になる。もしもの時を考えて、工事前に支払う金額はできるだけ低く抑えるのが得策なのだ。
理想は工事前に1/3支払い、中間時に1/3支払い、工事完了後に1/3が最もバランスが良い。支払いについては契約書に必ず記載さえるので、内容は必ずチェックして頂きたい。
最後に
内装工事については知っているか、知らないかの差で内装工事業者の対応も大きく変わってくる。素人ですよ、という態度は業者を怠惰にしてしまうので良くない。
自分は内装工事に精通しているという態度を見せることで業者も手は抜けないという気持ちになり、誠意を持って対応してくれるだろう。
今回解説させて頂いた内容をしっかりと理解して業者と一緒にになって、費用面、機能面、デザイン性など全てにおいて納得のいくラーメン屋を開業して頂きたい。