繁盛する焼肉屋を目指す!開業の手引き
焼肉が好きで自分でも美味しい焼肉を提供するお店を経営してみたいと思っている人は少なくないのではないでしょうか。
ところが、いざ実行に移そうとすると、「開業資金はどうやって用意すればよいのか」「どのような手続きが必要なのか」といった具合に意外とわからないことが多いものです。
そこで、焼肉屋を開業してみたいという人のために、その具体的な方法について解説をしていきます。
目次
焼肉屋開業に必要な資金は?
焼肉屋を開業しようと考えた際にもっとも気になるのが、どのくらいの資金を用意すればよいのかという問題ではないでしょうか。
ちなみに、平均値として挙げられるのが2000万円という数字です。
一般的な飲食店の目安が1000~1500万円といわれているのに比べるとかなり高めですが、これは焼肉屋の特殊性によるものです。
まず焼肉をお客様自身に焼いてもらうというシステムを採用しているのでテーブルごとに肉を焼く設備を設置しなくてはなりませんし、それだけ1席あたりのスペースも大きくなってしまいます。
したがって、それなりの席数を確保しようと思えば、小中規模のお店でも30~50坪程度の広さは必要になります。
仮に、坪単価1.5万で50坪の店舗を借りたとして家賃が75万円です。賃貸店舗の保証金は10カ月が相場なので、そうなると物件を確保するだけで750万円の費用が必要になってくるのです。
それに加え、焼肉を行うには煙対策のための空調設備が必須です。
席ごとに無煙ロースターを設置するとすれば購入費と取付費用で1台30~50万円はみておいた方がよいでしょう。
それらをトータルすると設備設置を含めた物件所得費用は1500~2000万円程度が目安となります。
それに加えて、当面の運転資金が必要です。
これを軽視する人もいますが、開業してしばらくは利益がでないケースは少なくありません。
そのときに当座をしのぐ資金がなければ、たとえ売上が上向きになっていても廃業するしかなくなってしまいます。
そうした事態を避けるためにも半年程度の運転資金は用意しておいた方が無難です。具体的な金額としては300~500万円といったところです。
それらを総合して考えると、開業資金の平均値が約2000万円というのは妥当な数字だといえるでしょう。
ただ、2000万円というのはあくまでも平均値にすぎません。実際はお店の規模によっても変わってきますし、開業資金をより圧縮する方法もいろいろとあります。
そのため、実際の開業資金としては800~2500万円程度の幅があるといわれています。したがって、焼肉屋の開業を検討する際も開業資金についてはその幅の中で考えることをおすすめします。
焼肉屋開業のために資金調達をするには?
開業に必要なおおよその額を把握したならば、次はその資金をどうやって用意するかを考える必要があります。
自己資金ですべてを賄えればよいのですが、それができる人はあまりいないでしょう。
そこで、代表的な資金調達の方法として挙げられるのが「日本政策金融公庫からの融資」「銀行などの金融機関からの融資」「地方自治体の制度融資の利用」の3つです。
まず、日本政策金融公庫は国の公的な金融機関であり、産業発展のために個人事業や中小企業をサポートする役割を果たしています。
そのため、あまり実績のない事業者に対する融資にも積極的です。
そのなかでも、開業の際に利用しやすいものに新創業融資制度があります。
この制度を利用すれば、担保・保証人なしで運転資金1500万円を含む最大3000万円までの融資を受けることが可能です。
そのうえ、通常なら2~3カ月ほどかかる融資審査が1カ月半ほどとスピーディなのも魅力です。
次に、銀行などの金融機関から融資を受けるという手段が考えられます。
しかし、この方法は意外とハードルが高く、開業資金の調達方法としてはあまりおすすめできません。
民間の金融機関は利益優先のため、リスクの高い開業資金の融資にはあまり積極的ではないからです。
ただ、地域密着型を看板にしている信用金庫、信用組合、第2地銀などであれば、力になってくれる可能性があります。
そのためには、開業前から信頼関係を深めておくことが大切です。
具体的にはそこに口座を開き、それを使ってコツコツと開業資金を積み立てていくのです。そうすれば、顧客としての信頼感が深まり、いざ開業というときは資金に関しての相談にのってくれる確率も高くなるでしょう。
最後は地方自治体の制度融資です。
これは地域の産業発展や企業育成を目的として作られた自治体主導の融資です。
融資自体は民間の金融機関が行うのですが、通常の融資と異なるのは公的機関である信用保証協会がバックにいるという点です。
この機関が事業者の保証人となってくれるので、実績のない創業者でも融資が受けやすくなっています。
しかも、自治体によっては利息の一部を負担してくれるため、低金利でお金を借りられる可能性があるというのも大きな魅力です。
開業コストを抑えるには?
焼肉屋の開業費用は他の飲食店と比べて高額になりがちです。
したがって、資金面に不安があるのであればコストダウンを図る工夫が必要になってきます。
その方法としてまず居抜き物件を選ぶという手段が考えられます。
居抜き物件とは厨房や空調の設備、什器などがそのまま残っており、自分が開業しようと考えている事業に流用可能な物件のことです。
これを上手く活用すれば開業資金を大幅に軽減することが可能になります。
ただし、そのためには物件の見極めが重要になってきます。たとえば、主なチェックポイントの一つとして挙げられるのが電気やガス・水道の容量です。
これらが不足していると改装工事に多大な費用が必要となり、内装設備がなにもない状態のスケルトン物件の方が安上がりだったということにもなりかねません。
また、排水中の生ごみ・油脂などを一時的に貯めておく設備であるグリストラップの有無も確認をしておく必要があります。
これがないと水道管がつまってしまいますし、新たに設置するとなると100万円近いコストがかかってしまいます。
その他にも設備や周辺環境などをチェックし、トータル的に考えて本当にお得な物件なのかを判断することが大切です。
また、導入設備を中古品で揃えることもコストダウンのための有力な手段です。業務用冷蔵庫や食器洗浄機などを新品で購入するとかなりの金額になりますが、中古で探せば大幅な節約につながります。
ただ、これらも古すぎるといざ故障したときに修理が受けられないなどの不具合が生じるリスクがあるため、購入後の修理に応じてくれるかなどについてはしっかりとチェックをしておく必要があります。
さらに、スケルトン物件を借りるなら煙を出さない無煙ロースターの設置は忘れないようにしましょう。
一見コストアップにつながるように思うかもしれませんが、これがなければ清掃コストがかさんでしまい、結局は割高になってしまいます。
焼肉屋開業に必要な手続き
食品を扱う施設を開業するには、食品衛生責任者を1人以上配置し、その上で食品衛生法に基づく営業許可をもらう必要があります。
食品衛生責任者の資格は自治体や保健所が主催する養成講習を受講し、そのあとで自治体に申請をすることで取得できます。
従業員であれば誰が資格所持者でもよいのですが、今後のことを考えればオーナー自身が取得しておくのが無難でしょう。
資格を取得すれば、次に店舗の完成図面を持って保健所へ訪れます。
そして、保健所の職員に図面を見てもらい、問題点を指摘されれば修正をした上で再提出をしなければなりません。
問題なしとなれば営業許可の申請書を提出し、約2週間後に保健所の担当者が検査に訪れます。
この検査をクリアすれば営業許可証が発行され、これで初めて焼肉屋の営業が可能となるわけです。
選べる2つの経営形態
焼肉屋の経営形態には主に独立型とフランチャイズの2種類があります。
まず独立型とは文字通り独力で店を運営していく経営形態です。
この方法で成功を収めるには仕入れルートや黒字を出すためのノウハウなどを自分で確立していく必要があります。
しかし、とてもそれを行う自信はないという人もいるでしょう。
そういった人たちのためにある選択肢がフランチャイズです。
フランチャイズとは特定のグループに加盟してその本部に加盟料やロイヤリティを払う代わりに、グループの看板や提供された商品・ノウハウを使ってビジネスを行えるという経営形態です。
マニュアルにしたがっていればひと通りの店舗経営が行えるため、未経験者でも失敗の可能性が低いのが大きな利点です。
その代わり、マニュアルから逸脱したことはできないという縛りがあるため、自分の思う通りに店舗経営をしてみたいという人にとっては不自由に感じてしまう面があります。
したがって、自分自身に確固とした営業ノウハウが備わっており、それを用いて高い収益を目指したいというのであれば独立型を選ぶべきでしょう。
焼肉屋開業をするなら考えるべき業態
他のビジネスと同じように、焼肉屋においてもコンセプト作りやターゲット層の選定は欠かせません。
そして、それと合わせて考えてほしいのがお店の業態をどうするかです。
焼肉屋には大きく分けて3つの業態があります。1番目はファミリー向けの業態です。
家族連れがメインの客層であり、立地は郊外が中心となります。
車での来店が前提となるため、前面道路の交通量、車線の数、駐車場の規模などが成否の鍵を握ります。
また、お客の年齢層が幅広いため、それぞれに対応したメニューを用意することも大切です。
2番目は大衆向けの業態で、仕事帰りのサラリーマンやOLが多くなる傾向にあります。
必然的に売上はアルコール比率が高くなります。
この業態のお店を目指すのであれば、立地は繁華街や駅前がベストです。
3番目は高級業態といって主に接待などで使われるお店です。
高級食材を使ったメニューを高級な雰囲気の中で提供するのが特徴であり、そのため客単価はかなり高くなります。
このタイプも繁華街にお店を構えるのが一般的です。以上の中から自分がやりたいお店に近いのはどのタイプかを考え、目指すべき具体的な店舗像を確立していきましょう。
焼肉屋を開業するならまずは資金調達から!
焼肉屋は根強い人気があり、客単価が高い点などから考えても非常に魅力的なビジネスだといえます。
その反面、他の飲食店と比べると開店資金がかなり高い傾向にあり、その点が大きなネックとなっています。
したがって、焼肉屋を開業したいのであればまず資金調達の手段についてよく考えることが大切です。
各金融機関からの融資や自治体の制度融資など、さまざまな選択肢について検討してみましょう。
同時に、居抜き物件や中古設備を活用するなど、いかにして開業資金を安く抑えるかの工夫も欠かせないところです。
さらに、成功確率を高めるためにはどのような経営形態や業態にするのかもよく考えておく必要があります。
これらの重要ポイントをしっかりと押さえ、焼肉屋開業の夢を現実のものにしていきましょう。