ゲストハウスを開業しよう!必要な手続きや成功の秘訣を紹介します!
2020年に開催予定の東京オリンピックに向けて、日本を訪れる海外観光客の数がどんどん増えています。それにともない、民泊と呼ばれるサービスが広まって、宿泊業界に大きな変化が表れ始めています。
本コラムでは、そんな流れにのって「自分でゲストハウスを開業したい!」という方のために、ゲストハウスの開業方法や必要手順などについて詳しく解説していきます。ぜひ参考にしていただけると幸いです。
ゲストハウス開業までのおおまかな流れ
いざゲストハウスを開業しようと思ってもどんなことをすればいいのか、よく分からない方もいらっしゃるかもしれません。開業までの流れを順に説明していきます。
①コンセプトを決める
どんな雰囲気の内装にするか、どんな人たちをターゲットにして、何を目標として運営したいのかをはっきりさせましょう。「落ち着いた雰囲気にしたい」「明るく騒げる場所がいい」など、方向性を決めておくとイメージしやすくなります。
②物件を探す
次にコンセプトにあった、ゲストハウスとして開業できる物件を探しましょう。すでに所有している物件がある方は、その物件が本当に使えるのか、イメージに沿った内装にできるかなど再検討してください。
そうでなければ不動産会社などで物件を1から探す必要がありますが、最近は空き家問題が話題になるほど空き家が増えてきているそうです。意外と物件探しには、困らないかもしれません。
③設計・工事
物件をコンセプトに合わせて改装したり、必要な場合は補強工事をおこなったりします。必要に応じて、建築業者やインテリアコーディネーターへの依頼を考えるといいでしょう。
・各種申請・手続き
開業にともないさまざまな書類や申請による許可を得ることが必要ですが、どんな書類や申請が必要かは後ほど紹介いたします。
・立ち入り検査
自治体や行政機関の立ち入り検査をおこないます。ここで許可が降りなければゲストハウスを営業することはできません。
この検査は消防署や保健所によって実施され、「必要な設備はそろっているか」「危険な内装や家具の置き方をしていないか」などがチェックされます。チェックに引っかかると内装の見直しと改善を命じられ、合格するまで営業許可が出ません。
ゲストハウス開業にかかる費用と内訳
ゲストハウスの開業にはどうしても大きな額の資金が必要です。とくに改装費は、どんな内装のゲストハウスにするかで大きく変動します。
【資金の主な内訳】
・物件費 (建物自体、土地代、維持費など)約100~1,000万円
・改装費 (内装の設計・リフォーム工事など)
約100~200万円
・備品代 (家電、家具など)
約100~200万円
ハウスに使う物件のもともとのテイストを残した自然な内装にするならば、改装費用を抑えることできるかもしれません。また経営していくうえで、最低でも約300~500万円の資金があるといざというときに困らないでしょう。
自己資金があればそれで開業するのもいいですが、新たに事業を始める方のための「新創業融資制度 」というものがあります。おもに、中小企業や新規起業家を資金面で手助けするための制度です。2008年に、財務省の一部として設立された「日本政策金融金庫 」が管理しています。最高3,000万円までの融資を受けることができ、保証人が不要です。
このような制度を活用することもできるので、しっかり予算を把握してどのように資金を調達するか決めておきましょう。
ゲストハウス開業に関する法律と手続き
結論から言いますと、開業するのに特別な資格は一切必要ありません。基本的に誰でもゲストハウスの開業をすることが可能です。
しかし、さまざまな申請や許可を得なければならず、すべてしっかり合格しなければ開業までたどり着くことはできません。ここでは、ゲストハウスの開業に最低限クリアする必要がある法律や許可を解説します。
■建築基準法 についての手続き
「建築基準法」とは、その建物が人にとって安全なものかどうかという基準を定めた法律です。この法律にのっとり、ゲストハウスとして利用する物件が安全な場所であるということを自治体に申請し、許可をもらわなければなりません。もともと宿泊施設ではない物件を宿泊施設として使うゲストハウスのような場合は、「用途変更」の申請が必要です。
■旅館業法 についての手続き
「旅館業法」は、「人を泊める」「宿泊料を受け取る」という2つのことをおこなう施設に適用される法律です。宿泊業が適正な運営をし、サービスを向上させることを目的として定められました。
ゲストハウスの営業は人を宿泊させるビジネスなので、旅館業法に基づく営業許可を受ける必要があります。ゲストハウスの物件がある地域の保健所に向かい、申請を出さなければなりません。申請してから許可が下りるまでは、およそ1ヶ月かかります。
■消防法についての手続き
ゲストハウスの物件がある地域の消防署に向かい、「消防法令適合通知書」を受け取る必要があります。こちらは検査で何も問題がなければ、約1週間で通知書を受け取ることができます。
■必要書類の準備
ここで挙げた3種類の法律に基づく手続きの際、かなり多くの書類が必要であるためひと苦労です。必要になる書類の例を記載しておきます。
・旅館業営業許可申請書
・各階平面図及び建物の立面図(縮尺100分の1以上)
・施設周辺150~300m以内の主な施設の位置及び距離を示した見取図
・消防法令適合通知書
・建築検査済証等の写し
・定款または寄付行為の写し及び登記事項証明書(法人の場合)
・登記簿謄本(全部事項証明書)
・水質検査書の写し
・工作物新築等許可書の写し
・申告書
・建物の配置図、正面図及び側面図
・営業施設の各階平面図
・電気設備図
・客室にガス設備を設ける場合、その配管図
・換気設備図または空気調和設備図
・給排水設備図
必要書類は自治体やゲストハウスの物件の環境によってさまざまに変動しますが、このように数多く用意しなければなりません。手間ではありますが、しっかり確認して不備なく開業できるようにしましょう。
ゲストハウス開業を成功させるには
素敵なゲストハウスを開業して、成功に向かうためには、こだわるべきポイントがあります。もっとも大切なのが「ゲストハウスのコンセプト決め」です。
コンセプトとは、「どのようなゲストハウスにしたいか?」「このゲストハウスを通じて誰にどんなものを提供していきたいか?」という目標です。たとえば、「外国人に日本の生活を感じてもらいたい」「この地域のことを好きになってほしい」という感じです。
コンセプトが明確になったら、それに合わせた内装を作る工夫をしましょう。日本家屋や西洋風が人気ですが、ファンタジックな雰囲気にしたり、逆に幾何学的な模様をメインに使ったりというアイデアもあります。
また、魅力的なサービスを考えることも重要です。近場の観光名所への送迎や入場チケットの用意などがあると、観光目的の人々にはとても魅力的なゲストハウスになるでしょう。
いろいろなアイデアを出し、自分のゲストハウスならではのよさを作り上げられるように工夫をこらすことをおすすめします。
まとめ
ゲストハウスの開業には資格などは必要ありませんが、法律や申請など、さまざまな手続きをクリアする必要があります。また、コンセプトや内装、サービスに工夫をし、たくさんの人が訪れてくれる場所を作らなくてはいけません。
決して簡単な道のりではありませんが、世界中の人たちと交流できるゲストハウスでしか得られない経験がたくさんあるはずです。このコラムを見てくれた方が素敵なゲストハウスを開業できるよう、応援しています。