アパート経営は甘くない?成功させるために知っておくべきことを解説
アパートの経営といえば「管理は多少面倒そうだけど、働かなくてもお金が入ってくる」というイメージの方が多いのではないでしょうか。たしかにアパート経営がうまくいけば、多くの家賃収入が得られ、自由な時間を多く持つことも可能でしょう。
しかし、じつはアパート経営はそこまで簡単ではありません。アパート経営を成功させるためには、さまざまな知識をあらかじめ得ておかなければなりません。何も知らずにアパート経営を始めようとすれば、大きな損失になることも珍しくないのです。
今回のコラムでは、アパートを経営するメリット、知っておくべきことや注意点について分かりやすく解説していきます。ぜひ参考にしてください。
目次
知らなきゃ損!アパート経営の大きなメリット
アパートを経営する最大のメリットは、やはり働かなくても安定した収入を得られることでしょう。家賃収入は、入居者がいれば毎月振り込まれます。全戸空室にでもならない限り、全く収入がないということにはなりにくいです。
あまり知られていないメリットとして、アパート経営は節税対策にもなります。その秘密は、減価償却費にあります。車、建物、高価な機械などは、使ってしまったらすぐにその価値がなくなるというわけではありません。これらの価値は年月の経過とともにだんだん下がっていくと考えられています。アパート経営の場合、毎年減った価値を経費として計上することが認められています。これが減価償却費です。減価償却費の分、会計上は経費が増え、その分利益を少なくできるため、節税につなげられるのです。
また現金の場合はすべてのお金に対して課税されるのですが、土地の場合は資産価値の7~8割程度に対して課税されます。そのため、固定資産税などの負担が大幅に減り、とくに相続税対策として、とても有効な方法です。アパートは他人に貸すことが主目的で、基本的に自分で自由に利用することができません。そのため、資産としての評価額が落ち、相続税が安くなるのです。
しかし、それらのメリットにも注意しなければならない点があります。まず当然ですが空室や家賃滞納がある部屋の収入は得られません。入居者の数によっては、維持費や生活費が家賃で得られる収入を上回り、赤字になることもあります。
節税対策についても、年月の経過とともにその効果が低くなります。上述したように、アパートは実際の支出を伴わない減価償却費が経費として認められます。認められた減価償却費のぶんだけ節税になるのですが、この減価償却費は法律で決められた期間が過ぎれば償却されきったとみなされます。期間はものによって違い、木造アパートの場合、建物自体が22年、設備などは15年程度です。それ以降は、減価償却費による節税の効果はなくなります。
アパート経営において重要なのは「キャッシュフロー」
利益を得るためには、入居者を確保して得られる家賃収入が、経費より上回っていなければなりません。そのためにも借入金の返済なども含めた実際のお金の流れ「キャッシュフロー」を把握しておく必要があります。利益が出ないと感じる場合は、キャッシュフローに原因のあることが多いです。
アパート経営で利益をだすためには、キャッシュフローを改善しなければなりません。出ていくお金を減らす方法としては、
・サブリースをやめる
・自分でアパート管理をする
といったことがあげられます。
サブリースとは、また貸しのことです。サブリースした場合、アパートは家主→サブリース会社→入居者という順番で貸し借りされます。この方式では、空室リスクや家賃滞納の心配がない、苦情対応をしなくてよいといった利点があります。しかし、また貸ししているぶん10~20%ほど収入が減ります。そのうえ、マンションのメンテナンス費用は家主持ちですし、契約を更新するたびに家主の収入は減る仕組みになっています。サブリースをやめれば、利益が減ることはないのでキャッシュフローの改善につながります。
また、自分でアパートを管理した場合は、管理人の雇用費や、管理の代行費用が浮きます。自宅との距離によっては難しい場合もあるでしょうが、可能なのであれば自主管理することをオススメします。
アパート経営は難しい?失敗しないために気を配るべきこと
「働かなくても勝手に収入が入ってくる」アパートの経営に詳しくないとそう思ってしまうこともありますが、当然そんなことはありません。アパートは入居者がいなければ収入が発生しません。収入を安定して得るためには、空室が発生したときの対策、退出者が続出しない対策を、しっかり決めておかなければなりません。
アパート経営では、空室が発生してもつねに対応できるようにしておきましょう。人気の高いエリアなのに空室率が高い場合は、経営の仕方に問題がある可能性があります。その地域のお客様のニーズをもう一度調べ、ニーズにあわせて経営の仕方を見直してください。たとえアパートの全戸に入居者がいる状態でも、油断してはいけません。どれくらい空室になると赤字になるのか考え、空室ができた場合は、入居者探しに強い仲介業者にすぐにコンタクトを取れるようにしてください。
退出者の続出を防ぐためには、アパートの管理をしっかりとすることが大事です。退出者が続出するのは、アパートの状態に不満を持っている人が多くいるからだと考えられます。アパート経営に失敗した人の中には、アパートの管理をおろそかにしてしまった人が多くいるのです。
とくに気を付けていただきたいのは、お金の節約のために自分でアパートを管理している方です。アパートの管理では、やらなければならないことが多くあります。施設の清掃はこまめにしなければいけませんし、どんな時間でもクレーム対応をしなければなりません。辛い・面倒だと思うこともあるかもしれませんが、経営を安定して続けていくためにも、アパートをしっかりと管理できるようにがんばってください。
空き室を埋めるための工夫をしよう
アパート経営の成功と立地は切っても切れない関係にあります。ここで目指すべきは、駅の近くなどの好立地ではなく、住みやすい環境であることです。コンビニ・スーパー、病院などが近くにない、住みづらい場所はとくに避けるべきでしょう。
たとえ、周辺施設まで徒歩では多少時間がかかる場合でも、車や自転車を使えばすぐに行けると工夫して宣伝することも大事です。持っている土地の場合でも、新たに土地を購入する場合でも、住みやすさを重視して立地にはこだわるべきでしょう。
また、入居者を増やし空き室を埋めるためには、内装工事で快適な部屋を作ることも大事です。大多数の入居者は、外観よりも内装のきれいさを優先する傾向があります。これは女性であっても圧倒的な大差があります。おそらく物件選びのとき以外はとくに注目することのない外観よりも、毎日見る内装にこだわる人の方が多かったということでしょう。建物が古くなってきてリフォームが必要なときは、内装を優先することをおすすめします。
新築当時はキレイだったけど、経年で見た目が悪くなったというときは、内装のリフォームを優先するべきでしょう。多少外観が古くても、内装がきれいなほうが入居者を確保しやすいのです。
まとめ
アパートの経営は、働かなくても安定して収入を得られ、節税対策になるというメリットがあります。しかし、それらのメリットに注意点があります。空室リスクや家賃滞納があると安定した収入を得ることは難しく、年月の経過とともに節税対策の効果はなくなっていきます。
アパート経営で確実に収入を得るためには、キャッシュフロー(実際のお金の流れ)に注意してアパートの管理を行っていかなければなりません。利益が出ない場合はキャッシュフローが悪くなっている可能性があります。利益があまりでなくて悩んでいるという場合は、キャッシュフローを見直してみてください。
アパート経営は一般的なイメージと違って、簡単なものではありません。空室が多くあったり、退出者が続出したりするようでは、アパートの経営は立ちいかなくなります。そういう場合は、経営の仕方や管理方法に問題がある可能性があるので、そういったところがないか見直してみるとよいでしょう。また、空室ができたときのために入居者を探すのが得意な仲介業者とコンタクトを取れるようにしておくことをおすすめします。
また、空き室を埋めるためにも、さまざま工夫を凝らすようにしましょう。まず、立地は近くに商店など便利な施設のある場所を選ぶようにしてください。多少遠くても、交通機関や自転車を使えばすぐに行ける、と宣伝することも大事です。また、アパートの入居者は建物の外観よりも内装を重視する傾向があります。建物が古くてリフォームを考えている場合は、内装を優先したほうがいいでしょう。
正しい知識を身に着けてアパート経営を成功に導いてください!