セレクトショップの開業に資格は必要?開業で大切にすべき点も紹介
オーナーやバイヤーが自分で厳選した商品だけを販売している「セレクトショップ」、あこがれている方も多いのではないでしょうか。しかし、セレクトショップはどんな資格が必要になるのか、資金はどれくらい必要なのか、ほかの業種とどんなところが違うのか、わからないところが多いですよね。
今回のコラムでは、セレクトショップを開業するときの流れをわかりやすく説明いたします。セレクトショップ開業に興味があるかたは、一度参考にしてみてはいかがでしょうか。
セレクトショップの開業に必要な資格・申請は?
お店を開業するときは資格がいるのかも気になるところです。また、どんな申請が必要なのかも知っておく必要があります。
セレクトショップを開業するためには、基本的には特別な資格や申請は必要ありません。開業届の提出など、一般的に開業するときに必要な手続きをするだけで大丈夫なのです。
個人の場合は、「個人事業の開業・廃業等届出書」を事業開始から1ヶ月以内に税務署に提出してください。申請書はネットでダウンロードするか、最寄りの税務署にもらいに行きましょう。例外として、中古品を扱う場合は「古物商許可申請」が必要なので、注意してください。
また、青色申告をしておくと、確定申告のとき最大65万円の所得控除が受けられます。そのため、「青色申告承認申請書」を開業届と一緒に提出するのがおすすめです。
法人の場合は、雇用関係の手続きが増えます。主に以下のように分けられます。
・社会保険事務所:健康保険・厚生年金など
・公共職業安定所:雇用保険など
・労働基準監督署:労災保険など
・税務署:税金など
開業のために必要な資格などがないので、簡単に開業できると思うかもしれません。しかし、セレクトショップの経営では、つねに学ぶ姿勢が必要になります。流行に敏感になり、扱う商品の知識を仕入れることはもちろん、それらをどう経営に生かすか考える経営者のセンスが問われる業種といってよいでしょう。
また、一般的な手続きだけとはいっても、多くの書類が必要になることもあります。さらに、自治体によって手続きの内容や判断には微妙に差がでることもあるのです。出店する地域ではどんな手続きが必要かしっかりと調べてから、開業することをおすすめします。
セレクトショップはコンセプトが大切!個性ある店舗づくりをしよう
セレクトショップを開業するときは、コンセプトをはっきりと決めてから開業することをおすすめします。
コンセプトはショップを経営するときの「すべての基準」になります。コンセプトによって、どんな商品をお店に置くかも全く変わってきます。お店にオリジナリティ、さらには強みを出すためにもコンセプトを決めることはとても大事なのです。
お店のコンセプトの影響がもっとも大きくでるのが、内装とディスプレイです。内装とディスプレイは、ショップに対してのお客さまの第一印象を決める要素です。これは、セレクトショップで安定して集客するためには、力をいれるべき重要な点ではないでしょうか。たとえ商品がよくても、お店のパッと見の印象が悪ければ、お客さまの求める商品はないと判断されることもあります。
また、コンセプトを決めるときは、どの客層をターゲットにするかも意識しなければなりません。例えば若者がよく集まるエリアで、高齢者向けのショップをだしても安定した集客は見込めないです。出店するエリアによって、メインとなる客層は変わるのでそのエリアの客層に合ったコンセプトを選択する必要があります。
必要な開業資金の目安と調達方法
セレクトショップと一言でいってもかかる費用はさまざまです。セレクトショップの開業に必ずいる資金としては、物件取得費、店舗工事費、什器・備品費、宣伝費、運転資金、その他の経費に分けることができます。
・物件取得費
店舗を開くための物件を借りるために必要な資金のことで、初回家賃・礼金・保証金(敷金)を含んでいます。通常の物件では、礼金・敷金は家賃数か月分程度なのが一般的です。
・店舗工事費
開店資金のなかでも、とくに出費の大きな部分になるでしょう。店舗の内装や水道・電気設備の工事費です。一般的には15万円/坪前後になります。
・什器・備品費
店舗で使用する日用品やレジ、PCなどにかかる費用です。
・宣伝費
チラシやポスター、ホームページ作成など販促活動にかかる費用になります。
・運転資金
開業当初は経営を黒字にするのは難しいです。そのため、家賃や雇用者の給料など月々にかかる出費を補填するための費用が必要になります。それが運転資金です。最低でも3ヶ月~半年分は用意するようにしてください。
・商品の仕入れ、およびその他の経費
商品の仕入れや、諸経費、予備費用です。商品の仕入れにかかる費用は扱うものによって大きく変わります。
店舗の規模などによって、必要な金額は千差万別です。一般的には500~600万円前後が多いといわれているようです。しかし、運転資金などある程度余裕を持ちたいことも考えると、700~800万円程度は用意しておいたほうが心強いのではないでしょうか。
潤沢な資金を用意するためには、さまざまな方法を駆使して資金調達するのがよいでしょう。そのなかでも一般的なのが日本政策金融公庫から融資を受けることです。日本政策金融公庫では、新規事業者や融資を受けづらいものを対象として、低金利長期間で融資をしてくれる制度が充実しています。
日本政策金融公庫以外にも、自治体で融資制度を行っている場合があります。問い合わせるなどして確認してみてください。公的機関以外には、銀行や信用金庫、信用組合などの民間企業から融資を受けるのが一般的ですが、新規事業者は融資を受けられないことのほうが多いでしょう。
商品の仕入れ先は多い方がいい!
セレクトショップを開業したら、お店のコンセプトにあわせて商品を仕入れていくのですが、取引先によっては複数のお店と取引しているところもあります。その場合、取り扱っている商品の多くが、ほかの店舗と同じになってしまうかもしれません。差別化のためにも、ほかの店舗とは違う商品を取りそろえられるようにしたいところです。
また、仕入れ先が複数のほうが、コンセプトに合わせてバリエーション豊かな商品をそろえやすくなります。商品は複数の取引先から仕入れるようにするのがおすすめです。
主な仕入れ方法
・メーカー・・・・・・商品を企画段階から制作
・輸入商社・・・・・・海外ブランドなどの輸入品
・問屋・・・・・・メーカーと輸入商社、両方の商品
ほかにもインターネットで仕入れる方法や、消費者から中古、古着として仕入れる方法もあります。また、展示会におもむき、新たなブランドを開拓するのもおすすめです。
まとめ
必要な手続きは、開業届の提出などだけで、特別な書類や資格は必要がないのがセレクトショップの開業です。しかし、扱う商品や店舗の雰囲気が経営に大きく影響するため、センスを問われる業種といえるでしょう。
お店作りでは、まずコンセプトを決めてください。コンセプトは「すべての基準」であり、お店で扱う商品や内装、すべて最初に設定したコンセプトにもとづいて決めていきます。コンセプトを決めるときは、ターゲットの目線を忘れないでください。
また、商品は複数の仕入れ先から仕入れるようにしてください。そのほうが、ほかの店舗との差別化がしやすく、商品のコンセプトを守ったうえでバリエーションがだしやすくなります。
ほかのお店と差別化するには、内装も重要となってきます。せっかく商品をそろえても、内装次第でお客様の入りが悪くなることもあります。そのためセレクトショップを開業するときは、しっかりと内装も考えることが重要になってくるのです。