新規店舗オーナーのための内装におけるA工事,B工事,C工事の違いについて
「○○さんこのプランだったら、ここの工事はB工事となりますが宜しいでしょうか?」
「はい。。。で。。A工事,B工事,C工事って何のことでしょうか?」
内装工事を発注する上で、最低限知っておかなければならない建築業界の専門用語というものがある。ABC工事はその中でも最も重要と言っても過言ではない。
何故なら、知っているか知らないかで後々思わぬ出費が必要となるケースがあるからだ。そうならないためにも今回はA工事,B工事,C工事の定義とその違いについて、どこよりもわかりやすく説明させて頂く。
目次
A工事,B工事,C工事の違いとは?
それぞれの工事の違いは、誰が発注者で、どこに工事を発注するかの違いだ。まずは分かり易く表にしてまとめたので、それぞれの違いについて確認頂きたい。詳細は次項から解説していく。
種別 | 発注者(出資者) | 工事業者 |
A工事 | 建物オーナー | 建物オーナー指定 |
B工事 | 店舗オーナー | 建物オーナー指定 |
C工事 | 店舗オーナー | 店舗オーナー指定 |
A工事とは何か?
A工事とは建物のオーナー側がお金を出して、オーナー側が指定する工事業者で行う工事のことだ。新築の建物であれば、建物の躯体工事や外装の仕上げ、分電盤の設置などの各種設備工事がそれに当たる。わかり易く言えばテナントが行う内装工事以外の工事を全てA工事と言って問題ないだろう。
建物の躯体って何?
建物の躯体とは、建物を支える構造体となる柱、梁、床、壁などがそれに当たる。RC造であれば鉄筋コンクリート、S造であれば鉄骨、木造であれば木が構造体となる。建物の骨格となる重要なパーツであるため当然のことながら建物オーナー側で工事を行うことになる。逆に店舗側の工事で一切手がつけられないので注意したい。特に耐震壁については注意しよう。RC造の建物では建物の耐震性能を高めるため、分厚く強度を持たせた壁を設置することがよくある。強度を確保するため、開口部の面積が極端に制限されているので容易に穴を開けることはできない。間違えて店舗側の工事で穴を開けてしまっては取り返しのつかいないことになってしまう。内装工事を行う際は建物の躯体の範囲をしっかりと押さえてから計画にとりかかる必要がある。
C工事とは何か?
続いて確認して頂きたいのがC工事だ。これは店舗オーナー側がお金を出して、店舗オーナー側が指定した工事業者で行う工事のことを言う。一般的に内装工事と言われる工事のことだ。内装において上記で説明した建物の躯体以外の部分はすべてこのC工事で行うものと把握しておこう。下記に各部位におけるC工事の範囲について説明させて頂く。
壁のC工事範囲とは?
何も無いところに壁を設置する場合は軽量鉄骨下地(LGS工法)と呼ばれる壁を支えるための骨格の設置から、壁仕上げの下地となる石膏ボードの設置、最後の仕上げとなる仕上げ材の設置までがC工事となる。RC造やS造で既に躯体や外壁材がある部分については、コンクリートの壁に団子状の接着剤を均等に塗り、プラスターボードを直接圧着して下地を作る「GL工法」と呼ばれる手法がある。
天井のC工事範囲とは?
天井においては壁と同様に、軽量鉄骨下地(LGS工法)の設置から下地材、仕上げまでがC工事範囲となる。鉄骨の骨格をクリップやジョイント材で組み立てる。下地は基本的に天井材を支える強度しか無いので、重量のあるものを天井から吊るす場合は、重量物と構造体を接続するなど、補強を施さなければならない。下地材としては石膏ボードを設置し、仕上げは、そのまま仕上げとなる化粧石膏ボードや、石膏ボードに塗装かビニルクロス、オフィスなどよく用いられる吸音効果のある岩綿吸音板などが用いられる。
床のC工事範囲とは?
床についてはコンクリートの床から上に設置するものは全てC工事となる。床には「架構式」と「非架構式」というものがあり、前者は二重床ともよばれ、木材や指示ボルトなどで下地を支える架構組んでその上に合板などの下地材を設置し最後に仕上げ材で仕上げる形となる。美容室などで給排水設備が必要な場合や、オフィスなどで電線やLAN配線が必要となる場合に用いられる。後者はコンクリートの床にそのまま仕上げ材を設置する形となる。
B工事とは何か?
B工事は最も理解されにくく、頻度も少ないがそれ故にトラブルに巻き込まれ易いので要注意だ。B工事とは、店舗オーナーの資金で建物オーナーが指定する業者で行う工事のことを言う。できるだけ分かり易く言うと、店舗オーナー側の要望で必要となるA工事に当たる工事と理解して頂ければ問題ないだろう。下記に事例を記載するので確認頂きたい。
消防設備工事におけるB工事の具体例
既存建物の賃貸物件において、法的に必要となる諸設備、特に消防設備はB工事となることが多い。何故なら消防設備は建物の用途や間仕切りの位置によって設置の要否及び、設置個数などが大きく異なるからだ。テナント側の意向で建物オーナーに負担がかかる様なことが無い様に、この様な仕組みとなっている。
上下階店舗におけるB工事
新築建物の賃貸物件において、上下階をテナントとして借りることはよくあることだ。その時に当然ながら、それぞれの階をつなぐための階段を設置することになると思うが、この階段もB工事となることが多い。
階段を設置するには床に開口部を設けなければならず、設計段階で構造計算が必要だし、法的にも諸事項をクリアしていなければならない。
上述した様にこれはテナント側の意向による必要となる工事なので、店舗オーナーが工事費用を捻出する必要がある。また工事を行う業者についても、上述したA工事(建物の躯体)に関わる部分なので、A工事側の工事業者(建物オーナー側指定)に任せておいた方が安心だ。
この様な理由から、B工事は建物オーナー指定の業者で工事を行うことになっている。
内装工事費を下げる方法とは?
上述した分類は一般的な常識に基づいて分類しただけであって、特に法律で定められていることではない。全ては貸し主である建物オーナーと借り主である店舗オーナーの契約によって決まることだ。よって交渉次第ではB工事を建物オーナー側に負担してもらうことも無理なことではない。例えば長年空きとなっている賃貸物件や、保証金が高い物件などについては一度交渉してみる価値はあるだろう。
まとめ
今回は事例や写真、イラストを使ってA工事、B工事、C工事について解説させて頂いた。知っているか知らないかで思わぬ費用が必要となってしまう理由もご理解頂けたと思う。しかし、やはり専門外の方にとっては理解しにくいところもあるだろう。その様な場合は直接質問して頂ければ、アーキクラウドの建築担当が回答させて頂く。費用は一切不要なので不明点がある方は是非問い合わせみて欲しい。
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