イタリアン開店前に知っておくべき内装工事予算計画のポイント

内装費用が大きな負担となる理由

念願の一国一城の主となり、初めての自分の店作りに取り掛かる段階は、新米のレストランオーナーがもっとも気分が高揚しているときだ。特に腕の自信のあるシェフがオーナーを兼任するパターンで、かつ若い世代を中心に安定的な需要が見込める人気のイタリアンレストランとなると、まず不安よりもワクワク感のほうが強いだろう。

しかし、水を差すようであるが、内装工事を含む初期投資の返済が完了させることを何よりも優先させることを強くおすすめしたい。飲食店の開業時期においては、運転資金と自己予算のバランスが崩れることこそ最大のリスクとなることをまず念頭に置いてほしい。

最も望ましい新米オーナーが初めての店舗を構えるケースでの予算計画とは、スタート時から三年間で初期投資が回収できることを目標に組み立てる、というものだ。このスタートアップにあたる三年間という期間で、固定客の確保といわゆる通りすがりの一見客の来店頻度がつかめてくる。それによって、リアルな店舗の集客ベースが固まってくる。

つまりは「リアルな月ベースの売上」を把握し、売上向上のために何が必要なのか見えてくる期間なのだ。また、この期間を無事通過することができれば、固定客層に最も近い近隣のオフィスで働く人々や地元の住民に「自分たちの街の店」として認知してもらえる。そして、ライバル店にも、飲食店情報業界にも、「中堅店」として見てもらえるようになる。

しかし、この最初の三年間は、当初期待したような結果がなかなか得られないことが現実であり、最初から集客に苦労しなかったというイタリアンレストランは、よほど立地条件の良い店で開業することができたか、他店で評判をとった名物シェフでもなければ、稀なケースではないだろうか。

ごく普通の平均的なオーナーは、まず、この三年間を持ちこたえられる体力を温存し、運転資金を日々の売り上げから少しでもプールし続けることが絶対に必要なのだ。

そして、このスタートアップ時の予算計画を完了させるために必要な、現実的な収入ベースをいかに目標売上金額に近づけるかがカギとなるのだが、現実には思ったように収益が上がらないことも想定しておかなければならない。だからこそ、自己資金の目減りには目を光らせる必要がある。

そして、飲食店経営者が自己資金を大きく目減りさせる最大の理由が、店舗にかかる費用、特に内装工事にかかる費用である。この初期段階におけるハード面でのコストの負担の度合いが、後々の経営の安定度に大きく影響するのだ。

くれぐれも内装工事の段階で、無理をしすぎることは避けよう。店舗の内装は、床や天井のような大きな面積や水回り以外は、少しずつ手を入れていける場所も多くある。

とにかく、このスタートアップの重要な期間を近隣の飲食店との激しい競争に打ち勝つためには綿密な予算計画が欠かせないことは肝に銘じよう。自分の腕だけで客を呼び込めると、料理の内容に自信があるオーナーシェフにありがちな、「経営者としての勉強不足と認識の甘さ」によって、念願の自分の店がもろくも崩れ去る砂上の楼閣となることだけは避けたいものだ。

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もし、内装にかかる予算配分に失敗したらどうなる?

それでは、もし開店したばかりのあなたのイタリアンレストランが、資金不足に陥ってしまったら、実際にどうなってしまうのだろうか?ざっとイメージしてみただけでも、次のような困難があなたを襲うだろう。

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運転資金が回らないことによって仕入れが困難になる

物販など他業種と異なり、飲食店が経営が不安定でも持ち応える期間が長くなる、という見方もある。飲食店の場合、売掛が発生することはまずなく、客は食事が終われば支払いを済ませるからだ。日々のランニングコストがかかるウエイトは高いが、サービス提供後に即時現金が入る仕組みは、経営を存続させるには有利に働く。

とはいえ、借金が増えれば金利も増え、食材の仕入れなどの費用の支払いも苦しい様子を見せるようになると、各取引業者も不安になる。経営に行き詰った経営者が見せるよくある光景として業者からの支払い督促に、自分の個人的なお金を支払いに充てるオーナーの姿だ。

料理に一番重要な食材の確保すら難しい状況にまで陥ったら、抜本的な見直しが必要な段階で、最悪の場合は店舗経営をやめる必要が出てくる可能性も高い。

料理人の意気が沈む

経営が苦しく、適正在庫よりも大幅に減らした量しか食材の準備ができない、あるいは原価が低い食材以外使えない、というような制限が厳しい厨房では、料理人のモチベーションは次第に下がっていくだろう。内装工事に力を入れても、肝心の料理やサービスの質が落ちてしまうようでは本末転倒だ。

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従業員の給与の支払いが滞る

経営者として、これだけはしてはいけないことの一つが「給与遅配」だ。てきめん噂が立つことは避けられない。そして、残念なことに給与遅配が起きてしまった後、まずスタッフの退職が続くことは避けられない。しかもたいていの場合、ほかの店で喜んで受け入れてもらえるような優秀なスタッフから辞めていく。

幹部スタッフとの信頼関係が崩れる

資金繰りのめどがつかないとき、オーナーと幹部スタッフは良好な関係を保つことが難しい。オーナーである自分と幹部として雇ったスタッフが、しっくりこないことは、敏感にほかのスタッフにも伝わってしまう。オーナーであるあなたは経営がうまくいかないことに焦り、幹部スタッフは責任を押し付けられることに不満を抱く。

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店舗の手入れ、修繕が行き届かなくなる

手持ち資金に余裕がないため、多額の修繕費用を用意できず、間に合わせの処置で済ませてしまうことが多くなる。開店したての新しくきれいな場所だけに手入れの行き届かないところが目立ってしまい、乱雑であまり清潔感を感じられない店、という印象を与えてしまうようになる。その結果として客足が途絶えることになってしまう。

このように、予算計画の配分、つまり内装工事費用に過度の負担がかかってしまい、なかなか体制が立て直せないままになってしまうことは非常に危険だ。せっかく安定した集客のために行った内装工事の費用の負担が重くのしかかり、店舗管理全体がどんどん杜撰になる事態を招いてしまい、結果として顧客を失うことになるという目も当てられない結果になるだろう。

自分の店を持ったばかりのイタリアンレストランオーナーが、潤沢な自己資金を所有しているというケースはほとんどいない。多くのオーナーが、自己資金およびおそらく少額融資のぎりぎりの予算を頼りに店を立ち上げている。開店初期にかかる費用だけで、この自己資金と融資分を使い切ってしまっていることがほとんどだろう。

そして、開業直後のレストランの客足というものは、最初の開店後のサービス施策実施期間が過ぎれば、しばらくは閑古鳥が鳴いていることが多く、収入は不安定なものだ。

店作りの段階では、イメージはどんどん広がり、床や壁はもちろん,テーブルなどの什器や照明にも凝りたくなってしまうのが人情だが、そこは気を引き締めることを忘れないでいたい。

そして、このような「なんでもやりたい」新米オーナーの心理を利用して、金儲けをたくらむ悪徳とは言わないまでも、ずるがしこい建築業者に付け入るスキを与えないようにしたい。そのためにも、無理のない予算計画に則って、内装工事費用を心づもりしておくことが大切なのだ。

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内装工事は複数社に相見積もり依頼が鉄則

では、どのような点に気を付けるようにすれば、「開店スタート時期の資金パンク」という最悪の結果を回避できるのだろうか。そのためには、まず、開店時にかかる費用の中で大きなウエイトを占める内装工事費用をいかに抑えられるかがカギとなる。

イメージ通りの店舗内装を実現するに足る中身の濃い工事内容でありながら、費用を抑えるために必要な行動とは、「複数社への相見積もり」を取ることに尽きる。

まず見積もりを依頼する業者選定の前準備として、同規模物件の平均内装にかかるコストについて把握しておこう。そのうえで、内装工事を請け負っている業者をピックアップし、ネットや口コミでの評価など事前リサーチを徹底する。

決して、仲の良い同業者から紹介してもらうことを期待したりせず、自分で納得して選んだ、これはと思う業者に相見積もりを取るようにしたい。

それでは、次に相見積もりを依頼する時のポイントをご紹介しよう。

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必ず成功する相見積もりの依頼ポイント

2,3社に絞って見積もり依頼

あまたある設計事務所や工務店の中で、「ここもよい店にしてくれそう」といろいろな業者に見積もり依頼を出したくなってしまうものだが、そこはぐっとこらえて、2社もしくはせいぜい3社までにしておこう。あまりたくさん選択肢があっても、人間は逆に選べないものだ。

よい業者の見極め方

様々な情報を見比べながら選んだ候補の業者に、実際に見積もり依頼を取った後に、決め手となるのはどのような理由なのだろうか。

まず、こちらの要求をよく汲み取ってくれて、店作りのセンスの良さも重要なポイントだが、予算配分について親身になって考えてくれる業者であることが大切だ。良い業者は、決してクライアントに予算に無理はさせない。予算配分の失敗によるリスクの恐ろしさを一番よく知っているからだ。

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最後に

このように、内装工事の費用のかけ方によって、経営の安定感はまるで異なってくる。オープン当初は、店そのものを準備し、店内のすべてをイチからそろえる必要があり、当初想定していなかった思いもかけない費用が発生することもよくある。

オープン当初から、返却が危ぶまれるような分不相応の借金を抱え、あまりにもぎりぎりの状況で開店することはおすすめできない。そのような状況に新米オーナーを追い詰める大きな原因の一つに、過度の内装工事費用の負担があるということを十分念頭入れておこう。

くれぐれも、開業資金の大半を占める内装工事費用は、慎重に計画を立てるようにしたい。なにしろ飲食業の7割が企業一年で廃業しているデータもある。初期投資の回収が完了するのが三年後と考えると、3年以内に閉店してしまえば、借金だけが残る結果となってしまうのだ。

開店スタート時は気を引き締めて挑むべきで、特に内装工事など大きな予算を割く事柄には慎重に慎重を重ねよう。これからイタリアンレストランを開業しようとするオーナーならば、もう一度しっかりと胸に刻んでおきたい。

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【記事監修】 山田 博保
店舗ビジネス&建築マーケティング/一級建築士     
建築業界での経験を活かしたWEBメディアを運営。内装工事マッチングサイト「アーキクラウド」創業者。WEBコンサル事業、コンテンツ販売事業にも携わる。Facebookお友達申請大歓迎です。その他WEB集客、自社メディア構築、ビジネスモデル構築に関するコンテンツは公式サイトより。
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第8回:居抜き物件の設備機器の盲点とは?
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第11回:リノベーションやリフォームで使える補助金制度とは?
第12回:店舗開業後の利益算出に必要な変動費と固定費とは?
第13回:開業後に赤字にしない為の損益分岐点売上高の計算方法とは?
第14回:店舗経営で営業利益を出すために必要な計算式とは?
第15回:内装工事の減価償却方法と税金について
第16回:内装工事の耐用年数と減価償却について
第17回:賃貸物件でもかかる固定資産税について
第18回:店鋪・飲食店開業前にやるべき立地、物件選びとは?
第19回:店鋪・飲食店物件の立地戦略その1
第20回:店鋪・飲食店物件の立地戦略その2
第21回:店鋪・飲食店物件の立地戦略その3


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